ら ふぉんてぃーぬ
創業31年。泉区ができたばかりのころに開店したフランス菓子店「ラ フォンティーヌ」は、まちの変化を見続けてきたお店のひとつです。景色が変わっていくなか、変わらないお菓子を求めて、泉区民だけでなく遠方からやってくるお客さんも。 地産の果物や野菜が豊富に取れる泉区。長年にわたり生産者とやりとりを重ねてきたのがシェフの佐伯俊哉(さえきとしや)さんです。旬のぶどうや柿、さつまいもといった食材ごとに取引先があり、それぞれの素材を存分に生かしたお菓子を手がけています。地元で取れる果物やそれを使ったお菓子について、佐伯さんにお話を聞きました。
戸塚区から分区し、泉区ができてまもない1990年にオープンした「ラ フォンティーヌ」。泉区役所やいずみ中央駅がある付近も、あたり一面畑だったといいます。「駅も開業したばかりで、これからどんどん人がくるだろう」と考え、場所を決めたそうです。
もともとは銀座のフレンチでデザートを作っていた佐伯さん。自身が手がけたお菓子を、もっとリーズナブルに身近な人々に食べてほしいという想いから、地元である横浜市で開店したそうです。当時は地産地消という言葉があまり広まっていませんでしたが、果樹園や農家が多くあることに着目。地元の食材を使ってみようと、生産者とのコミュニケーションをスタートさせました。いまでは地元の果物を買い入れ、新鮮な素材でお菓子を作っているそうです。
30年以上営業を続けるなかで「流行り物には手を出さない」と佐伯さんは話します。「甘さのなかに苦味があり、酸味があり、食感があってこそのお菓子。丁寧に作っていくことにこだわっています」。また、2003年には、卵を使わないで作るスポンジケーキの製法特許を取得。アレルギー持ちの子どもを持つお客さんに話を聞き、安心して食べられるよう試行錯誤を重ねました。
生産場所を実際に見ることができるのも地産地消のメリットのひとつ。ラ フォンティーヌでは地元のレモンには農薬が少ないことを活かし、皮も使ったシフォンケーキを製作しています。安心して食べることができるのも、佐伯さんのお菓子ならではの魅力です。
ショーケースには、キラキラと光るケーキが並びます
長年泉区で営業してきたことで、佐伯さんは多くの果樹園や農家と知り合ってきました。「すぐ近くにある『宮澤果樹園』さんは昔から親しくさせていただいていて。他には『自然館』さんのイチゴを使わせていただいたこともありました」。そのほか深谷にある園芸店「グリーンファーム」では、農家が食材を持ち寄って即売会が開かれるといいます。食材を買えるだけでなく、地産品について新しい情報も得られるそうです。
夏はぶどう、秋には柿、春から初夏にかけてはリュバーブと、さまざまな果物をお菓子に取り入れてきました。あまり見かけない柿を使ったタルトは、取材にきた雑誌から依頼を受けて製作。これまで作ったことのないお菓子にも意欲的に取り組んだそうです。
「うちの定番は『いずみポテト』です。地元のさつま芋から作っていて、創業当時からのロングラン。いまでもお客さまに人気があります」。こちらは取材時にはすでに完売。白あんをベースに生クリームと卵黄をふんだんに混ぜることで、さつま芋の本来の味を引き出しています。
またラ フォンティーヌでは、お菓子作りを深く学びたい人たちに向け、広く門戸を開いています。佐伯さんのもとで修行し、自身の店舗を構える人も少なくありません。「料理を全くしたことがない男性もいましたが、いまではフランスでお店を開いていますよ」と嬉しそうに話します。
さらには小学校の総合学習の一環として、ジャムや飴などを作るお菓子教室にも力を入れています。コロナ禍の現在、教室は開いていませんが、多くの子どもたちにお菓子作りを教えてきました。ネットで簡単に作り方を調べられるいま、実際に作って見せてあげることが重要だといいます。「お菓子作りには火加減や混ぜ加減といった”加減”が大切です。手を動かして味わってみる。最終的に生地と会話ができるようになるともっと楽しいんですよ」。コロナ禍が落ち着いたころには、お菓子教室を再開させ、子どもたちにも来てもらいたいそうです。
「いずみポテト」(260円・税込)。芋の収穫は10~11月ですが、冷凍保存をしているので一年を通して提供ができるそうです
ゴルゴンゾーラチーズとフランス産チョコレートが絶妙にマッチする「ベルトモリゾ」(497円・税込)
甘酸っぱいカシスの鮮やかな色味が目を引く「カシスバニラ」(454円・税込)
泉区の発展とともにお店を続けてきた佐伯さん。道路の拡張工事や新しい家が立ち、風景が変わりながらも、いまだ新緑が生い茂る自然があるのが魅力だといいます。「都心も近く、若い世代の人も泉区に入ってきていると感じます」。長後街道を挟んだラ フォンティーヌの前には創立130年を迎える小学校があり、長い間ファミリー層に人気なのもうかがえます。
「これだけ長くやっていると、昔お母さんと手をつないでやってきたお子さんが、次はお母さんになって自分のお子さんを連れてくることもあります。わざわざ遠方から車で訪れてくださる常連のお客さんもいて、ありがたいですね」。
新型コロナウイルスの影響もあり、現在は佐伯さんがほぼ一人でお菓子を作っています。厳しい状況でも営業を続けていくなかで、新しい農家や食材に対する興味は常にあるそうです。「果物でもなんでもやっぱり旬のものが美味しいんです」。忙しい日々にもかかわらず、お菓子作りの楽しさが佐伯さんのお話から伝わってきました。
ケーキのほか、焼き菓子も豊富に並ぶ店内
お店の外観
【ラ フォンティーヌ】 住所:泉区和泉中央北4-14-2 アクセス:相鉄いずみ野線「いずみ中央駅」から徒歩4分 営業時間:10:00~19:00 電話番号:0120-554-014 HP:http://www.la-fontaine.co.jp
甘さのなかに感じる多様な味わい。旬の食材を上質なお菓子に仕上げる「ラ フォンティーヌ」
創業31年。泉区ができたばかりのころに開店したフランス菓子店「ラ フォンティーヌ」は、まちの変化を見続けてきたお店のひとつです。景色が変わっていくなか、変わらないお菓子を求めて、泉区民だけでなく遠方からやってくるお客さんも。
地産の果物や野菜が豊富に取れる泉区。長年にわたり生産者とやりとりを重ねてきたのがシェフの佐伯俊哉(さえきとしや)さんです。旬のぶどうや柿、さつまいもといった食材ごとに取引先があり、それぞれの素材を存分に生かしたお菓子を手がけています。地元で取れる果物やそれを使ったお菓子について、佐伯さんにお話を聞きました。
手軽に美味しいお菓子を。泉区との軌跡
戸塚区から分区し、泉区ができてまもない1990年にオープンした「ラ フォンティーヌ」。泉区役所やいずみ中央駅がある付近も、あたり一面畑だったといいます。「駅も開業したばかりで、これからどんどん人がくるだろう」と考え、場所を決めたそうです。
もともとは銀座のフレンチでデザートを作っていた佐伯さん。自身が手がけたお菓子を、もっとリーズナブルに身近な人々に食べてほしいという想いから、地元である横浜市で開店したそうです。当時は地産地消という言葉があまり広まっていませんでしたが、果樹園や農家が多くあることに着目。地元の食材を使ってみようと、生産者とのコミュニケーションをスタートさせました。いまでは地元の果物を買い入れ、新鮮な素材でお菓子を作っているそうです。
30年以上営業を続けるなかで「流行り物には手を出さない」と佐伯さんは話します。「甘さのなかに苦味があり、酸味があり、食感があってこそのお菓子。丁寧に作っていくことにこだわっています」。また、2003年には、卵を使わないで作るスポンジケーキの製法特許を取得。アレルギー持ちの子どもを持つお客さんに話を聞き、安心して食べられるよう試行錯誤を重ねました。
生産場所を実際に見ることができるのも地産地消のメリットのひとつ。ラ フォンティーヌでは地元のレモンには農薬が少ないことを活かし、皮も使ったシフォンケーキを製作しています。安心して食べることができるのも、佐伯さんのお菓子ならではの魅力です。
ショーケースには、キラキラと光るケーキが並びます
お菓子がつなぐ、生産者から未来のシェフへのバトン
長年泉区で営業してきたことで、佐伯さんは多くの果樹園や農家と知り合ってきました。「すぐ近くにある『宮澤果樹園』さんは昔から親しくさせていただいていて。他には『自然館』さんのイチゴを使わせていただいたこともありました」。そのほか深谷にある園芸店「グリーンファーム」では、農家が食材を持ち寄って即売会が開かれるといいます。食材を買えるだけでなく、地産品について新しい情報も得られるそうです。
夏はぶどう、秋には柿、春から初夏にかけてはリュバーブと、さまざまな果物をお菓子に取り入れてきました。あまり見かけない柿を使ったタルトは、取材にきた雑誌から依頼を受けて製作。これまで作ったことのないお菓子にも意欲的に取り組んだそうです。
「うちの定番は『いずみポテト』です。地元のさつま芋から作っていて、創業当時からのロングラン。いまでもお客さまに人気があります」。こちらは取材時にはすでに完売。白あんをベースに生クリームと卵黄をふんだんに混ぜることで、さつま芋の本来の味を引き出しています。
またラ フォンティーヌでは、お菓子作りを深く学びたい人たちに向け、広く門戸を開いています。佐伯さんのもとで修行し、自身の店舗を構える人も少なくありません。「料理を全くしたことがない男性もいましたが、いまではフランスでお店を開いていますよ」と嬉しそうに話します。
さらには小学校の総合学習の一環として、ジャムや飴などを作るお菓子教室にも力を入れています。コロナ禍の現在、教室は開いていませんが、多くの子どもたちにお菓子作りを教えてきました。ネットで簡単に作り方を調べられるいま、実際に作って見せてあげることが重要だといいます。「お菓子作りには火加減や混ぜ加減といった”加減”が大切です。手を動かして味わってみる。最終的に生地と会話ができるようになるともっと楽しいんですよ」。コロナ禍が落ち着いたころには、お菓子教室を再開させ、子どもたちにも来てもらいたいそうです。
「いずみポテト」(260円・税込)。芋の収穫は10~11月ですが、冷凍保存をしているので一年を通して提供ができるそうです
ゴルゴンゾーラチーズとフランス産チョコレートが絶妙にマッチする「ベルトモリゾ」(497円・税込)
甘酸っぱいカシスの鮮やかな色味が目を引く「カシスバニラ」(454円・税込)
変わる景色と変わらない日常、泉区の変遷とともに
泉区の発展とともにお店を続けてきた佐伯さん。道路の拡張工事や新しい家が立ち、風景が変わりながらも、いまだ新緑が生い茂る自然があるのが魅力だといいます。「都心も近く、若い世代の人も泉区に入ってきていると感じます」。長後街道を挟んだラ フォンティーヌの前には創立130年を迎える小学校があり、長い間ファミリー層に人気なのもうかがえます。
「これだけ長くやっていると、昔お母さんと手をつないでやってきたお子さんが、次はお母さんになって自分のお子さんを連れてくることもあります。わざわざ遠方から車で訪れてくださる常連のお客さんもいて、ありがたいですね」。
新型コロナウイルスの影響もあり、現在は佐伯さんがほぼ一人でお菓子を作っています。厳しい状況でも営業を続けていくなかで、新しい農家や食材に対する興味は常にあるそうです。「果物でもなんでもやっぱり旬のものが美味しいんです」。忙しい日々にもかかわらず、お菓子作りの楽しさが佐伯さんのお話から伝わってきました。
ケーキのほか、焼き菓子も豊富に並ぶ店内
お店の外観
【ラ フォンティーヌ】
住所:泉区和泉中央北4-14-2
アクセス:相鉄いずみ野線「いずみ中央駅」から徒歩4分
営業時間:10:00~19:00
電話番号:0120-554-014
HP:http://www.la-fontaine.co.jp