自分を受け入れ、表現することで周囲をハッピーに 謎の子連れ手品師&バルーン使いくみちゃん
「謎の子連れ手品師&バルーン使いくみちゃん」こと遠藤久美子さんは、地元・泉区の幼稚園や自治体、企業からの依頼を受け、幅広い内容のパフォーマンスを披露しています。パフォーマンスから結婚式の飾りつけまで、多方面で活躍する遠藤さん。ミステリアスでユニーク、そして親しみやすいイメージです。笑顔が印象的な彼女に、これまでの活動についてお話を伺いました。
“子どもの頃のワクワク感”を届ける人
2024年12月15日、地蔵原の水辺で行われた「和泉中央地区 ふるさとまつり」のステージで、遠藤さんのアートバルーンショーを取材しました。カラフルな衣装で準備を進める彼女の姿は、まさにエネルギッシュ。音楽とともに始まるステージでは、スプーンとフォークを使ったマジックや、子どもたちとの会話のキャッチボールを楽しむ場面も。あっという間に完成したサンタクロースのバルーンには歓声が上がり、ステージは大盛況でした。遠藤さんは、子どもたちの笑顔を生み出し、大人にも小さい頃のワクワクした気持ちを思い出させてくれる素晴らしい存在です。
自己否定から自分を表現するまで
子どもの頃、彼女は人見知りで自信を持てず、目立つのは苦手でした。しかし、転機が訪れたのは22歳の年。自己否定に悩み、人生に行き詰まった時、本を読んだり、演劇ワークショップやプレイバックシアター(即興劇の一種)に参加したりしたことで、自分を見つめ直すとともに、何かを表現することの素晴らしさに気づきました。この経験が、これまで人前に出ることさえ苦手だった彼女が自分を表現し、外の世界とつながる第一歩となったのです。その後、病院のボランティア活動に参加し、ホスピタルクラウン(道化師が病院で活動すること)になったことをきっかけに、現在の活動に発展していきました。
「自信のない時には、無理して自分を変えようとはせず、不安、恐れ、自信のなさを、抵抗せずしっかりと受け止めるようにしています」と遠藤さん。自信がない自分を否定せず、そのままの自分で楽しむことが大切だと語ります。「謎の子連れ手品師の活動は、自分にとって自然なこと。それで観客に喜んでもらえて、自分も楽しめて、最高です」
どんな状況でも、一番大切にしていることは「観客に喜んでもらう」ことです。それを思い出すことで気持ちの切り替えが早くなり、パフォーマンスにも良い影響を与えているそうです。
パフォーマンスが自分自身を癒し、そしてエネルギー源になる
妊娠・出産のために活動を一時中断したものの、パートナーとの会話の中で、「子連れでパフォーマンスをしてみようかな?」という思いが湧き、子どもを連れてのパフォーマンスを始めました。遠藤さんのお子さんはたまに一緒に来て、 芸を披露することもあったそうです。
子連れで活動していたのは就学前までで、現在はお子さんが中学生に成長しています。活動が自分自身をリフレッシュさせ、エネルギーを与えてくれ、子育てのストレスも発散できます。「自分が表現することで観客にもエネルギーを与えることができて、双方がハッピーになれます」と語る遠藤さん。現在では、月に平均3回、年間40回程度の依頼を受けて活動しており、活動場所は主に泉区内です。
遠藤さんの道のりは決して楽ではなく、数多くの苦労もありました。「楽しみながらチャレンジすることが大切」と感じて、変化を加えながら活動を続けています。
取材を終えて
取材を通して、遠藤さんは自分の思いをしっかりと伝えてくれました。「子どもの頃は引っ込み思案だったけど、今思えば、人前でパフォーマンスをしてみたいという気持ちの種はありました」と語る遠藤さん。自身の表現が人々に喜びを与えることを、自然体で実践し続けている姿が印象的でした。また、泉区での活動を通じて地域とのつながりを大切にしていることも感じられました。記事を通じて、私も改めて自分のやりたいことを見つけ、それを届ける大切さを実感しました。
##ライタークレジット:
写真・文=阿辺絵美子
#Information
謎の子連れ手品師&バルーン使いくみちゃん(いずみ区民活動支援センター 泉区人材バンク)
https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/kurashi/kyodo_manabi/kyodo_shien/kuminkatsudo/bank/torokusha/jinzai-a1.html
※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。
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