カフェりぴーと
かふぇりぴーと
- ジャンル
- 喫茶店、
- 営業時間
- 11時~15時30分
- 休業日
- 日曜日、月曜日、祝日
- 住所
- 泉区中田北2-1-9
- TEL
- 045-443-9009
- 推薦者
- 青木 博文
地場野菜がつなぐ支え合いの輪。障害者が地域で生きるを応援する「カフェりぴーと」
泉区で知的障害者支援施設を運営する特定非営利活動法人「ジョイカンパニー」。頭文字の「J」を冠した4つの事業所、J1、J2、J3、J4りぴーとを展開し障害があっても輝ける場を提供しています。今回は地域活動支援センターJ4の「カフェりぴーと」を訪ね、理事長の西谷みどりさん、施設長の横川朋子さんに話をうかがいました。
カフェを通して障害者理解を深める機会を
2020年、市営地下鉄線の立場駅近くにオープンした「カフェりぴーと」。ここでは様々な障害を持つ15名が働いています。
オープンに至った経緯を尋ねると、「知的障害者を受け入れる作業所を運営するなかで、様々な理由で通所が難しいケースに直面しました。カフェをオープンした理由は、社会参加を望む方が、楽しんで通える場所をつくりたかったから。もう一つ、障害があっても頑張って働く姿を地域の人に見ていただき、障害への偏見をなくしてみんな一緒なんだということを知っていただきたい。障害者理解を深めたいという強い思いがありました」(西谷みどりさん)
西谷さんと横川さんは、障害のある方々を”メンバー”と呼んでいます。そこには一緒にカフェをつくっていく大切な一員、そんな思いが読み取れます。カフェで働くメンバーは20歳の若手から76歳まで年齢層は幅広く、厨房では料理の盛り付けや洗い物を、ホールでは接客をてきぱきとこなし、目の前の畑に出て農作業にも精を出します。それぞれが得意とするジャンルに取り組む横顔には、誇りと充実感が滲んでいました。
地場の恵みをふんだんに。元気を運ぶメニューの数々
ランチタイムが近づくと、地域の人が続々とカフェを訪れ店内に活気が溢れます。メニューは人気の日替わりランチプレートのほかに、特製ミートソースと明太子風味の生パスタが2種類。J2に併設する喫茶「グリーンフィールド」でつくるドライカレーが並ぶ日もあり、どのメニューも栄養バランスがよくボリューム満点です。
この日、日替わりランチプレートのメインはサイコロステーキ。その横には彩り豊かな季節野菜がたっぷり添えられていました。
「付け合わせ野菜のブロッコリーは、目の前の畑で収穫しました。自家製ジャムには、近所の農家さんが譲ってくれたキウイを使っているんですよ」(横川朋子さん)
「自分たちの手で育てた野菜や、農家さんが栽培した果物を使い、体に優しい料理を提供したい」という西谷さんの思いは、器のなかでしっかりと実を結んでいる様子。お客さんの舌と目と心を喜ばせ、体を元気にしてくれると評判です。
ランチはすべて700円(税込)と非常にリーズナブル。そこには西谷さんのこんな思いが込められています。
「もともと収益を優先していません。メンバーさんの頑張りをサポートするのが事業所の役割で、働く姿を知っていただくのが目標ですからね。地域の人とつながりができると災害時など困ったときも声をかけてもらえますし、そうやってメンバーさんが地域のなかで生きていけるようになることが一番大事だと思っています」(西谷みどりさん)
カフェの自慢は食事だけでなく、手づくりスイーツも充実しています。
「レアチーズケーキは、チーズとヨーグルトの組み合わせに試行錯誤しながらメンバーさんと1年がかりで仕上げた自信作。かぼちゃのチーズケーキやゴボウのガトーショコラも人気です。旬になるとスイーツに使う野菜や果物も畑で収穫したものを使っています」(横川朋子さん)
土づくりからみんなで。有機肥料ですくすくと
畑はカフェの前と後ろに2つ、区内にはさらに3つ。計5カ所をメンバーさんとボランティアスタッフで管理しています。今はニンジン、ホウレンソウ、春菊、大根、ブロッコリーが食べ頃。最近、約2000本のタマネギの植え付けが終わり、今はみんなで土を耕してジャガイモを植える準備が進行中です。
「なるべく化学肥料を使わず、有機栽培にこだわっています。肥料にはぬか、ワラ、枯葉を使い、瀬谷区の乗馬クラブに提供してもらう馬ふんもよい肥料になっています。最初は畑の知識がなくて、農家さんや近所の方に教えてもらいながらここまできました。水やりを怠けて怒られたこともあるけど、それだけ心配してくれているってことですね」(西谷みどりさん)
地場野菜の魅力を尋ねると、「とにかく新鮮でおいしいです」と太鼓判を押す横川さん。いずみ野にある畑ではピーナッツを栽培し、「最初は土の中で実がなることも知らなくて。今では栽培、収穫、皮むきまで自分たちの手で行い、畑は330坪まで大きくなりました。自家製ピーナッツバターも絶品ですよ」(横川朋子さん)
西谷さん曰く、カフェをオープンするなら地元の農家さんとつながりを深め、当初から地域性を活かした店にしたいと思っていたそう。
「私は泉区が地元なので以前からJAや農家さんと親交があり、現在は4、5件の農家さんに野菜や果物を厚意で提供していただいています。ほかにも家庭菜園をしているお客さんが『タケノコ採れたよ、大根採れたよ』と持ってきてくれるんです。お客さんが別のお客さんを紹介してくれて縁が広がり、本当にありがたいです」(西谷みどりさん)
地域の人を巻き込み、つながりをもっと広く深く
オープンから5年経った今、お二人が思い描く「カフェりぴーと」の未来像を聞いてみました。
「畑で果樹も育てているので、メンバーさんと一緒にお客さんも収穫体験ができたらいいなと思っています。もぎたての果実を絞ってジュースを飲んでもらい、収穫と味わうことをセットで楽しむ機会を実現したいです」(西谷みどりさん)
「昨年、ジョイまつりというイベントを開催した際、裏の畑で地域の皆さんとサツマイモ掘りを行いました。その際に近所の高校の生徒さんが手伝ってくれたので、若い人の力に元気をもらいながら地域の人たちとのつながりをさらに深めていきたいです」(横川朋子さん)
この土地が育んだ食を通して人と思いがつながり、優しいストーリーが生まれる場所「カフェりぴーと」。物語はまだ始まったばかり。これからの展開が楽しみです。
カフェりぴーと
住所:横浜市泉区中田北2-1-9
営業時間:11:00~15:30(ランチLO14:00)
定休日:日・月・祝日、夏季、年末年始
TEL:080-3087-3679
HP: https://peraichi.com/landing_pages/view/joycompany
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