エコキャンパス研究会の多様な取り組み(フェリス女学院大学の公認学生団体)
相鉄いずみ野線「緑園都市」駅の近くにある「フェリス女学院大学」は、キャンパス全体が環境への取り組みを積極的に行っている「エコキャンパス」となっており、これまで横浜環境活動賞や環境大臣賞を受賞するなど高く評価されてきました。記者の知り合いの学生から「私の学校には風力発電がある」と聞いて興味を持っていたので、同大学の緑園キャンパスで活動をしている「エコキャンパス研究会」の最近の活躍の様子を取材しました。
エコキャンパス研究会の創設は平成14年(2002年)と歴史あり
「いずみくらし」における前回の取材は令和4年(2022年)。ちょうどエコキャンパス研究会の「創設20周年」にあたり、お祝いをしたかったがコロナ禍で断念しました、と佐藤輝先生は当時を振り返ります。
※前回の記事はこちらを参照ください
活動は、毎週金曜日のお昼休みに30分間を目安にミーティングをしているそう。現在取り組んでいるプロジェクトの進捗状況、コラボレーションしている各企業との打ち合わせ内容の報告などを行います。ミーティング後には研究会のグループLINEで議事録を共有しているとのことで、企業さながらの丁寧な姿勢に、研究会の活動意欲を感じました。
3年生は11月にいったん引退しますが、4年生になって就職活動が落ち着いたころ、研究会の手伝いをする方もいるとのこと。引退後も愛着があり、後輩たちを見守る姿が浮かびました。
新たに取り組んでいるコラボレーション企画は3件!
2024年12月14日には、ゆめが丘ソラトス1階の食にまつわる交流スペース「Live Kitchen SORATOS」で泉区地域振興課とキャンドルイベントを共催。家族連れやお一人、友人同士の女性たちなど、多くの方が参加され、研究会のメンバーの説明のもと、一緒に廃油を使ったキャンドル作りを体験しました。
イベントはキャンドル作りとキャンドルナイトの2部構成。まずは空き瓶などに廃油と凝固剤を入れ、クレヨンなどで色付け、ラメを入れたりして固めます。芯に使うのはタコ糸。研究会のメンバーの丁寧な説明を受けながら、慎重に作っていきます。
いよいよキャンドルができあがると、3階の屋外スペース「station view terrace」で火を灯します。
イベントは盛況のうちに終了し、作成したキャンドルは参加者が持ち帰りました。今回参加したローカルライターの松本さんのご家庭では、お子さんがキャンドルを気に入り、お風呂の電灯代わりにキャンドルを使って入浴したとのこと。幼少期からエコに関心を抱くことにより、将来が明るい未来になることを願う、とても素晴らしいイベントでした。
2つ目のコラボレーション企画は、葉山ボンジュール(神奈川県三浦郡葉山町)と開発した「地産地消」や「フードロス」に配慮したパン。研究会が完成イメージを考案→葉山ボンジュールの職人さんが実際にパンを作り商品化→各店舗で販売するという特別なパンです。研究会ではこれまで色々なパン屋とコラボレーションしてきたそう。最初はVIE DE FRANCE(いずみ野店)で、6年間続きました。その次はベーカリーカフェ・コペ(横浜市青葉区)、次が葉山ボンジュールです。
今回生み出されたメニューは下記の5種類。なんと、食パンのミミを使用したデザートもあるそうです。一般的にパンのミミはパン粉に転用するなどしていましたが、それでも余ってしまうとのことでした。
・湘南ゴールドのジャムと紅はるかのデニッシュ
・やまゆりポークと海老名トマトを使用したカレーパン
・神奈川県産シラスとエビのアヒージョ米粉パン
・パンのミミのティラミス
・湘南ゴールドのフレンチトーストカップ(こちらもパンのミミを使用しています)
「葉山ボンジュールの職人さんは、地産地消とフードロス対策を考慮して研究会が描いたパンのイメージ図を商品としての『パン』にしてくださるすごい力量の方たちです」と、佐藤先生は絶賛していました。
3つ目は、伊藤園の横浜泉支店(泉区岡津)とコラボレーションした、マイボトル専用ティーバッグの販売に関する取り組みです。泉区の「スポGOMI大会(=制限時間内に定められたエリア内でごみを拾い、その量と質をポイントで競いあうスポーツの大会)」で伊藤園の担当者と知り会ったことがきっかけで、行政のイベントや大学祭の参加者に、伊藤園のティーバッグを提供しています。
前回の「いずみくらし」取材で紹介された特注のマイボトルは完売しましたが、それをさらに発注・販売することはしませんでした。すでに安価なボトルが広く普及しているからです。これからは伊藤園とともに、もっとマイボトルで楽しめるようなオリジナルなフレーバー・ティーやフェアトレードの商品開発に注力していきたいそうです。
地域と交流し地元に還元する
研究会は企業や区役所以外にも、地元の自治会とミーティングをすることもあります。緑園都市駅前で毎年11月に開催される「緑園街(まち)マルシェ」に参加することで、自治会とのお付き合いが始まったとのこと。現在研究会はマルシェへの出店を「卒業」していますが、音楽サークルやチアリーディング部、フェアトレードクッキーを販売するグループなど、大学内のさまざまなサークルの参加につながっており地域との交流の輪は確実に広がっています。
ここまで紹介した活動は、横浜市が提唱する「SDGs未来都市」にも関連することであると、佐藤先生は話します。横浜の企業に勤める卒業生メンバーも多いとのこと。エコキャンパスでさまざまな経験をし、学んだことを地元に還元していると感じました。
さらに記者は取材後に、佐藤先生の案内で、エコキャンパスの代表的な設備や施設を見学させていただきました。知り合いから聞いていた風力発電は、耐用年数に達してしまい、残念ながらコロナ禍中に撤去をしたとのこと。正式には「赤い羽根の風車」と呼ばれていたそうで、その痕跡を示すキャンパス内の地図を説明してくださいました。ちなみに、この風車の由来である明治時代の風車についての特別展示が、山手キャンパスのフェリス女学院歴史資料館内で2025年9月まで開催中です。
生ごみは、なんとキャンパス内でリサイクルしているとのこと。学食で毎日出る15kgの生ごみを、巨大なディスポーザー装置で粉々にし、微生物の力を借りてコンポスト化。出来上がった堆肥を契約農家で使用していただくことで、安全な野菜作りにつなげています。
エコキャンパス施設である図書館、シンメトリーでとてもきれいな体育館、そして緑化壁面の校舎も見学。記者は徹底しているエコ設備にびっくりしました。
続いてビオトープがある緑化校舎の屋上に上がり、晴れた日には富士山が見えるという方角を望みました。
取材を通じて、キャンパスの見学やエコ設備の説明を受け、とても貴重な体験をさせていただきました。今後も多種多様なエコへの取り組みを継続していただき、未来が明るい社会になることを願うと共に、「エコキャンパス研究会」の活動を見守っていきたいと思いました。
##ライタークレジット:
写真・文=石井 豊
##Information:
【フェリス女学院大学 エコキャンパス研究会】
所在地:〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
TEL:045-812-8211(代表)
ホームページ:https://www.ferris.ac.jp/life/union_club/24%20.html
Instagram:https://www.instagram.com/ferris.ecocampus/?hl=ja
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