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下飯田駅のバラはなぜ美しいのか? その秘密を知るキーパーソンに迫りました!

横浜市営地下鉄の下飯田駅が春と秋にバラの名所になることはご存知でしょうか?この美しいバラを、駅を利用する人が立ち止まって写真に収めている光景をよく見ます。なぜバラが下飯田駅に咲いているのか、そのバラはなぜ美しいのか、その謎に迫ります。

 

2022年10月某日、下飯田駅の看板と黄色いバラ

 

 

バラのお世話をしている方ですか?

 

私が毎日利用する下飯田駅に、春と秋には色とりどりのバラが咲き乱れます。ピンク、黄色、白、赤のバラは、甘くて優雅な香りを放っているものもあり、豊かな気持ちにしてくれます。せわしなく通勤する人でさえ足を止めてバラを撮影しています。かくいう私も、疲れたときに駅で出迎えてくれたバラの美しさに、時に励まされ、記念に写真に収めています。

 

「下飯田駅のバラはなぜ美しいのか?」と思い、検索してみたところ2014年のタウンニュースの記事にいきあたりました(※)。ぜひお話を伺いたいと思っていた矢先に下飯田駅でバラの手入れをしている方をお見掛けし、「もしかして小菅さんでしょうか?」とお声を掛け、インタビューの承諾を得ることができました。また、2012年に横浜ばら会の会報に投稿した記事(第52号、P44-45、ばら乃栞 2012年)もご紹介いただき、こちらと合わせて下飯田駅のバラの美しさに迫ることにしました。

 

バラの剪定をしている小菅賢三さん

 

 

なぜバラに魅了されたのですか?

 

会社に勤めている間は転勤が多く、花を育てることに縁がなかったという小菅さん。もともと植物は好きだったので、退職後にある公園で開催されていた研修に参加したことでバラの栽培の基本を学びました。その後、持ち前の探求心から横浜ばら会に参加し、栽培技術を磨きました。この横浜ばら会は、1951年にバラの愛好家により設立され、バラ栽培技術の向上と、バラ栽培管理のボランティアなど、地域社会への貢献を目指して活動しています。小菅さんは、バラの品評会で数多くの賞をとるようになりました。

 

バラの魅力を聞くと、「長年品種改良が重ねられてきた結果、多様な種類の花が咲くことはもちろんですが、初春の花をつける前の赤、黄色、黄緑の新芽が萌え出ずる様も素晴らしい。また、接ぎ木や挿し木も容易な上に、どこを切っても芽が出て花を咲かせる生命力の強さがあり、手をかけたらそれに応じてくれる面白さがあります」ということでした。横浜ばら会の理念「どのバラも認め、素晴らしいと褒める。バラに対して愛情をもって接する」も大切にしているそうです。

 

横浜のみらいの更なる発展を祈念した「はまみらい」。四季咲きのピンクの大輪の花です

 

バラの魅力をお話ししてくださる小菅さんは、とても楽しそうで、特にバラ栽培になると詳しくいろいろ教えてくださいました。

 

 

下飯田駅でバラを植えたきっかけは?

 

下飯田駅開通の時の記念切符(小菅さん提供)。

 

下飯田駅が開業したのが1999年8月。下飯田周辺地区では悲願の駅開通で、駅を盛り上げるため花壇が設置され、地元のボランティア団体が世話をすることになりました。小菅さんも退職したこともあって、このボランティア団体に参加し、百日草、チューリップなどを植えていました。

 

開発前の下飯田駅周辺の様子(小菅さん写真提供)

 

初夏から夏にかけて元気に咲く花はあるものの、春と秋には花壇が寂しくなるため、バラを植えることにしました。横浜ばら会で習得した技術を発揮し、最盛期には48株にまで増やしました。2022年夏ごろから下飯田地区の開発が本格化し、一部の花壇は整地され、面積は減ってしまいましたが、現在でも35株が植わっています。

 

 

下飯田駅でのバラ栽培で気を付けていることは?

 

下飯田駅のバラ栽培で気を付けていることが三つあるそうです。

 

一つは目線です。同じバラ科でも桜は「見上げる」、バラは「目線」と決まっているとのこと。駅でふと目に入ってくるバラも目線できれいにそろっており、そういった意図があって手入れをされているんだなと納得しました。

 

二つ目は、病気対策、害虫駆除です。葉っぱにでる黒星病、春先から出てくるアブラムシと、シーズンごとに病気対策と害虫の駆除の手入れは欠かせません。駅は人の出入りが多く小さいお子さんも利用するため、週末の早朝の人が少ない時間帯の薬の散布を心がけているということでした。バラの樹木毎に丁寧に薬をかけています。

 

三つ目は、バラを植える位置。とげがあるバラは、うっかり触ってしまうと危険です。できるだけ道路から奥まった位置に植え、通行の邪魔にならないよう枝が伸びてきたら剪定をこまめにしているということでした。

 

駅でインタビューをしている間、たくさんの人が小菅さんに「きれいなバラをありがとう」と言っている場面に出くわしました。

 

バラと記念撮影に応じていただいた小菅賢三さん。バラの話をありがとうございました

 

「下飯田駅のバラはなぜ美しいのか???」は、小菅賢三さんが、確かな栽培技術で下飯田駅への利用者を気遣ってこまめに手入れをしたバラだからという結論に至りました。

 

バラは、5月上旬~6月、9月~11月上旬が見ごろです。小菅さんの愛情をいっぱい受けたバラが下飯田駅でお迎えしています。

 

 

##ライタークレジット:

写真・文=小松文美(泉区ローカルライター)

 

##Information

※2014年5月29日号タウンニュース

https://www.townnews.co.jp/0107/2014/05/29/237996.html

 

横浜ばら会

http://yokorose.punyu.jp/

 

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

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