夏の大イベント、須賀神社の「例大祭」。露店だけじゃない! 地域を愛する人たちが作りあげるユニークなお祭りってほんと?
夏の大イベントのひとつといえば、そう、夏祭りですね。いずみ中央駅近くにある須賀神社の「例大祭」には毎年たくさんの人が訪れます。さまざまな露店が並び、大きな掛け声とともに担がれるお神輿は迫力満点! ところでこの「例大祭」、一体どんなお祭りでどのようなことが行われているのか、みなさんご存じでしょうか。今回、須賀神社の広報である長嶋康太朗さんにいろいろとお話をお伺いすることができました。須賀神社には宮司さんがいないので、お神輿の組み立てもお祭りの運営も、神社のお掃除も、全て地域の方々が行っており、地元の人たちに支えられています。この記事を読んだあとには、きっと、「例大祭」を今までよりも何倍も楽しめるようになるはずです!
「みたまうつし」? 参加型の「奉納演芸」ってなに!?
――須賀神社の例大祭はどのような願いが込められたお祭りなのでしょうか。
須賀神社は京都八坂神社の御分社で、祭神は素佐之男命(すさのおのみこと、牛頭天王とも呼ばれる)と櫛名田姫命(くしなだひめのみこと)の二柱といわれています。夏は疫病や風水害などが起こりやすい季節なので、悪霊や災害を除き、無病息災を願って行われるのが例大祭です。9月に行われるお祭りが多いなか、京都の祇園祭と同様に7月に行われるのが須賀神社の特徴なんです。
――お祭りでは、どのようなことを行っているのでしょうか。
例大祭は2日間にわたって開催され、1日目を宵宮(よいみや)、2日目を本宮(ほんみや)と呼んでいます。1日目のメインイベントは二つあり、まず行うのが「御霊遷し(みたまうつし)」です。これは、神社の神様をお神輿に移す儀式で、宮司さんを呼んで神社で行います。神様を宿したお神輿を担ぐために行う重要な儀式ですね。もうひとつは「奉納演芸」です。境内の神楽殿でさまざまなパフォーマンスが行われ、神様に日頃の成果をお見せするという意味が込められています。
――具体的にはどのようなことをするのですか。伝統舞踊のようなものでしょうか!?
いえいえ、違うんですよ! 泉区の中学校の先生によるギターの弾き語りや、カラオケ大会、地元で活動している沖縄三味線のみなさんやDJを呼んで音楽をかけたこともあります。地域の子ども会とコラボして、手作りランタンも飾りました。今年カラオケ大会に出てくれた子どもたちは、来年も出るぞと張り切ってくれています。
以前は外部の方にお願いをしていたこともあったのですが、この奉納演芸が「人と人がつながるきっかけの場」となってみんなで盛り上がれたら最高だなと思い、地域の方たちに声をかけさせていただくようになりました。新しいつながりはもちろん、出演をきっかけに久しぶりに再会したという懐かしい出会いもあるみたいですよ。
――地域に目を向けた奉納演芸、素敵ですね。2日目はいよいよお神輿の出発ですか?
そうです。現存するお神輿は1950年に奉納されたものなので今年で75周年を迎え、総重量は約800㎏です。昔から受け継がれているルートに沿って、須賀神社を氏神様としている地域を順番にまわり、6時間近くかけて須賀神社に戻ってきます。「ソイヤ!」という迫力のある掛け声とともに鳴る軽快な笛の音、力強い太鼓の響き、半纏を着た大人たちが一丸となって長後街道を練り歩く姿は圧巻です。学生時代に味わった文化祭のワクワク感というのでしょうか…たまりません!
お神輿の最大の魅力は、非日常のなかで味わう一体感
――長嶋さんも毎年お神輿を担ぐとお聞きしましたが、その魅力とは何でしょうか。
ひとことで言うならば、お神輿でしか味わうことのできない高揚感と一体感ですね。さまざまな年代の人たちが大きな声を出しながらエネルギーをぶつけあって、そこにいる全員がひとつになって伝統の神輿渡御を成し遂げる。この非日常の体験は、大人になってからはなかなかできないことだと思います。
実は私、生まれも育ちも泉区で。初めて須賀神社のお神輿を担いだのは今から20年以上も前になりますが、あの時に感じた衝撃と感動は忘れられません。それからすっかりお神輿にハマってしまい、現在は会社勤めをしながら須賀神社の応報の奉仕をやらせてもらっています。
――熱い想いが伝わります! 担ぎ手さんはたくさんいるのですか?
残念なことに数は減少していて、特に須賀神社の半纏を着た地元の担ぎ手さんは全体の一割ほどに減ってしまい地区外からの担ぎ手さんに支えられているのが現状です。お祭りにかけられる予算も年々厳しくなっているのも事実ですが、そんななかでも次世代へお神輿の伝統や楽しさを伝えるために、今いろいろと試行錯誤しているところなんですよ。
昨年から、老若男女問わずお神輿へ興味を持ってもらえるようお祭り当日に「担ぎ手講座」を開催し、お神輿を担いだことのない人も安心して楽しめるようレクチャーを行っています。今年は15名の参加があり、手応えもまずまずといったところです。他にも「神輿くぐり」といって担いだお神輿の間を子どもたちにくぐってもらい、子どもの健康と成長を祈るイベントも。くぐった子どもたちが未来の担ぎ手となってお神輿を一緒に盛り上げてくれたら嬉しいですね。
「つながり」を感じられる例大祭に
――今後、どのような例大祭にしていきたいですか。
例大祭は、地域の人の願いを込めて神様を祭る大切な行事です。だからこそ、奉納演芸もお神輿もそこに住んでいる人たちみんなで作っていきたいという強い想いがあります。知らない人同士がどんどんつながっていって、一体となってひとつのことをやり遂げる。この「横のつながり」をもっともっと感じられる例大祭にしていきたいです。
そのためにも、奉納演芸やお神輿に参加してもらえるよう、地域の団体やクラブなどにもっとアピールしていきたいと思っていますし、地元の方…特に泉区愛がある方たちにはぜひ積極的に参加してほしいですね! 家庭や学校、職場といった日々置かれている枠の外に新たなコミュニケーションの場を作ることが難しい今だからこそ、最高の仲間たちと一緒に作りあげる「例大祭」を心から楽しんでほしいと思います。
取材を終えて、ライターが密かに決めたこと
これまで、夏祭りといえば露店でおいしいものを食べたり、お神輿を見ながらその姿を楽しんだりするものだと思っていました。もちろん、それもお祭りの楽しみ方のひとつです。しかし今回、長嶋さんのお話を聞いて、例大祭は「一緒に作っていけるイベント」なんだということに気づかされました。
学生時代、文化祭大好き人間だった私としては、まず、来年の例大祭で担ぎ手講座を受けてみよう…そう心に決めた取材となりました!
##ライタークレジット:
写真(※)=香川義雄さん提供
文・写真=稲口祥子
##Information:
須賀神社
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