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宮ノ前テラス

みやのまえてらす

ジャンル
飲食店(その他)
営業時間
9:00~14:00(コミュニティカフェ)
第1、第3 水曜17:00~20:00(子ども食堂)
休業日
金土祝
住所
横浜市泉区中田東4-59-41
TEL
045-884-0246
HP
https://miyanomaestro.or.jp/
推薦者
青木 君雄(生産者/泉区中田北)
  • 写真:宮ノ前テラス 1
  • 写真:宮ノ前テラス 2
  • 写真:宮ノ前テラス 3
  • 写真:宮ノ前テラス 4
  • 写真:宮ノ前テラス 5
  • 写真:宮ノ前テラス 6
  • 写真:宮ノ前テラス 7

交流の“きっかけ”を生む「宮ノ前テラス」

 

 

中田駅から徒歩10分ほど、宮ノ前公園のなかにある「宮ノ前テラス」。ボランティアの地元住民によるNPO法人「宮ノマエストロ」が運営するコミュニティカフェです。一般的なカフェ営業だけでなく、子ども食堂や学習支援、認知症カフェなどのサポート事業を展開。地元の農産物を主に使い、地産地消にも取り組んでいます。代表の高橋裕子さんに、お話を聞きました。

 

区役所でつながったそれぞれの思い

 

泉区は、昔から住む高齢者もいれば、新しく移住してくる若者も多い地域です。宮ノ前テラスは、そんな地域特性を背景に、多様な世代が交流できる場所として、2018年にオープンしました。高橋さんは、「食事はきっかけなんです」と話します。

「最初は飲食店を開くなんて思いはまったくなく、ただ漠然と交流の場があったらいいなと考えていました。そのためには、食を媒介にするのが一番いいと思ったんです。『さあ集まってください』よりも、『今日採れた野菜を使った、こんなおいしいごはんがありますよ』のほうが、『じゃあちょっと行ってみよう』となりやすいのではないかなと」

高橋裕子さん

 

宮ノ前テラスで働く人たちは、皆、ボランティアです。始まりは、開店の2年前。4人の初期メンバーをつなぐこんな出会いがありました。

「私が『交流の場をつくりたい』と区役所に相談に行ったときに、『自分の土地を有効活用したい』『一人暮らしの人たちが集まる場所を探している』『誰でも利用できるスペースを開放したい』といった、たまたま向かう先が同じような人がほかにもいると、紹介がありました。奇跡ですよね。それぞれが別々に相談に行っていたんです。つなげてくれた職員さんにとても感謝しています」

 

地元の野菜で、地域ボランティアがつくる家庭料理

 

宮ノ前テラスでは、日・月・火曜は「野菜たっぷりランチ」、水曜は「手打ち蕎麦」、木曜は「スペシャルプレート」の日替わりランチといったぐあいに、それぞれ趣向を凝らした料理を提供しています。いずれも体にやさしいメニューです。また毎月第1・3水曜日の17時~20時は「みやまえ食堂」(子ども食堂)も開催。

 

高橋さんが交流とともに心がけているのは、食を地域で循環させることです。副菜や蕎麦の天ぷらに地元野菜をたくさん使用し、市場で余った食材を有効活用するといった工夫も。

「近所の個人農家の方々が野菜を毎朝持ってきてくださり、その日の野菜から3種類ほどの副菜を考えます。時期によっては毎日同じ野菜のときもありますが、レシピは毎回違います。それは、つくっている人が違うから。キッチンのボランティアさんはほとんどが主婦なので、それぞれの家庭の味があり、同じ食材でも全然違うメニューになったり、同じメニューでも味が違ったりします。それも楽しみの一つとして来ていただけたらうれしいです」

 

手打ち蕎麦(1,000円・税込)。10種類ほどの天ぷらが付きます

 

取材日は、手打ち蕎麦の日。天ぷらに、地元で採れたししとうや春菊が使われていました。実は、そば職人もボランティア。毎週違う人が順番に担当し、それぞれが思い入れのある蕎麦粉を調達しています。

 

「今日は、北海道・幌加内の蕎麦粉。今月から新蕎麦で、おいしいですよ」と話すのは、そば職人の田中治經さん。

「私たちはみんな素人ですが、地元の教室で蕎麦打ちを習い、段も取得しています。私のこだわりは、水の入れ方。だいたい、蕎麦粉の半分くらいの水を入れますが、一気に入れるのではなく蕎麦粉のご機嫌を見ながら丁寧に注ぎます。みんな喜んでくれるから、楽しいですよ」

 

田中さん(前)と、三瓶さん(奥)。2人ペアで担当しています

 

1人前は、約145g。「普通のお蕎麦屋さんより少し大盛りです」

 

利用者も、運営者も、一緒にコミュニティを形成していく

 

また、「子どもたちに、地産地消を肌で感じてもらいたい」という思いから、収穫体験も企画・運営しています。

 

「この土地はおいしい農産物がたくさん採れます。なかでもびっくりしたのは、梨やぶどう、ラ・フランスなどの果物まで生産されていること。ただ、せっかく子どもたちの通学路のあちこちに農園があるのに、なかで何をやっているのかが外からはあまり見えないんです。だから、農家さんにお願いして、『どのような思いでつくっているのか』といったエピソードも話していただきながら、食育を目的とした収穫体験をスタートさせています」

 

これらの活動を支えるボランティアは年長者だけではありません。活動を長く続けるために多世代でともに考え、育っていく活動を目指しているのです。すでに現在、学生ボランティアも活躍中です。

 

「農業体験イベントの運営は高校生、学習支援事業は大学生に任せています。今の学生たちは本当にすごくて、私たちには思いつかないようなことをやってくれています。みんながやりたいことはできるだけ見守って、サポートしたいですね」

 

イベントスペース。小さい子ども連れのお客さまのために、座敷用テーブルも用意されています

 

 

さらに、スマホ教室やヨガ教室、親子ふれあいリトミックなど、いろいろな人たちが交流できる多種多様な教室も開催している宮ノ前テラス。これからは、この場所を飛び出したイベントにも力を入れていこうとしています。

 

「少し前、関内・桜木町で『エンジョイウォーク』というウォーキングイベントを開催しました。そのとき、『実は中田でコミュニティカフェをやっているんです』と話すと、近所に住んでいるけれど知らなかったという方も多くて。その後、宮ノ前テラスに来てくださるようになったという、逆輸入みたいなことも起きているんです。そんなふうにコミュニティが広がっていくのが最近はすごく楽しくて、今後はもっと活動を外にひらいていきたいと考えています」

 

開店5年目の今、「本当にここがあってよかった」「ずっとうちに籠っていたけれど、久しぶりに人と話すことができた」といった、感謝の気持ちを直接伝えてもらえることも増えたそうです。

 

子どもだけでも、高齢者だけでもなく、大人も若者もみんなが集まれる場所。多種多様な教室をひらいているのも、より多くの“きっかけ”を生み出すため。ぜひ、おいしい料理や興味のあるイベントを求めて、ふらっと訪れてみてください。

 

外観。木目調の看板が目印です

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