ロゴ画像:いずみ くらし

ガーデンキッチンぶどうの樹(第4ぶどうの樹)

がーでんきっちんぶどうのき

ジャンル
パン、
営業時間
11時30分から15時
休業日
土曜日・日曜日・祝日・最終水曜日ほか
住所
横浜市泉区和泉中央北6-21−17
TEL
045-435-5359
推薦者
齊木 昇
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働く、つくる、食べる。弁当づくりを通して、自分が望む暮らしを

「特定非営利活動法人ぶどうの樹」が運営する就労継続支援B型事業所「第4ぶどうの樹」。泉区の野菜を使った惣菜と弁当をつくり、販売しています。店前で笑顔を見せるのは、サービス管理責任者の平良美和さん。ぶどうの樹に通う「メンバー」と日々向き合う平良さんが、泉区で暮らし、つくって食べる喜びを話してくれました。

 

ここでつくって、ここで食べる喜び

相鉄いずみ野線・いずみ野駅から10分ほど歩くと、子どもたちの元気な声が平和幼稚園から聞こえてきます。そのすぐ隣に、アニメ映画に出てくるような建物がありました。

「ガーデンキッチン」という名もある建物。やわらかい日が射し込むテラスでは、桜を見ることもできます

 

ぶどうの樹は、身体・知的・精神障がいの有無にかかわらず、誰もが社会参加できる施設として2003年に開所。その後も泉区内で施設を増やし、第4ぶどうの樹が2017年10月に開業しました。もうすでに地域との関わりも深かったため「他の区には行かず、泉区内でと考えていた」と平良さんは言います。

 

第4ぶどうの樹は、職員と「メンバー」と呼ばれる障がいのある利用者さんがともに惣菜や弁当をつくり、販売も行います。泉区内で野菜の移動販売を行う野菜農家の齋木昇さんからタマネギ、ニンジン、キャベツなどを仕入れ、惣菜や弁当の材料にしています。

 

毎朝10時30分ごろには弁当をつくりあげ、店に並べ、いくつかは泉区役所にも届けます。週に1回ほど野菜を仕入れ、つくり置きはしません。ハンバーグを焼く、トンカツを揚げるなど、なるべくその日の朝に調理して出来立てを提供しています。

 

今日のメニューは奥から時計回りにバターチキンカレー、ロコモコ丼、やきとり丼

 

 

特に人気なのはバターチキンカレーとロコモコ丼です。「カレーがおいしいから」と通うお客さまや、なくならないようにと予約をするお客さまもいます。

 

バターチキンカレーは、トマトペーストやココナッツ、生クリームを使って日本のカレーとインドのカレーの良さを折衷。ロコモコ丼のハンバーグは試作を重ねて、おいしいと思えるものをメンバーと決めました。メニューの考案には彼らの食べたいものや意見が反映されていると言います。中には、店舗で買うことのできないメンバーだけが食べられるまかないメニューも。

 

「弁当なら、ここのメンバーもお昼ご飯の時間に一緒に食べられます。弁当屋さんの仕出し弁当を注文することもありますが、ここでつくってここで食べることの喜びがあるようです」

 

平良さんが大事にしているのは、メンバーに楽しく来てもらえること。

 

「就労継続支援B型事業所での一日は仕事がメイン。だから厨房の作業では一人ひとりが自分の役割をもてるようにしています。難しいことも繰り返しやっていくことでできるようになって自信をつけていく。そういう成長していく姿も見られます。気持ちがマイナスに向かないよう、自信をもって取り組める声かけを意識します」

 

厨房での作業は、メンバーが年度の初めに決める目標に沿ったものを割り振り、少しずつ取り組みます。平良さんが大事にする「楽しく来てもらえる」場所を証明するかのように、毎週料理をするたびに「楽しいね」と話すメンバーもたくさんいるそうです。

 

区民との交流

開店・閉店作業や接客も大事な仕事。お客さまと交流したいメンバーもいるため、担当するメンバーがかたよらないようにシフトを組んで店先に立ちます。

取材中もお客さまの来店が続いた

 

 

泉区は福祉施設が多いため、福祉に理解のあるお客様が多く、来店するお客さまは気さくで話しやすい。平良さんはそう感じています。

 

「メンバーと積極的に関わろうとしてくれる人が多いです。気さくにお話しできる感じで、距離感が近い。メニューについて説明すると関心を寄せてくれます。横浜市内だけど都会的すぎない雰囲気も泉区の良さでしょうか。地域のお祭りでもたくさんお客さまが来てくれるんです」

 

2023年11月3日に開催された「泉区民ふれあいまつり」では、泉区内の福祉施設などが出店。第4ぶどうの樹も、コロッケやミニ丼、ミニ唐揚げなどの軽食をそれぞれ60個販売しました。飛ぶように売れ、昼前には完売することができました。

 

隣の平和幼稚園が園内で育てたサツマイモをおすそ分けしてくれたこともあったそうです。そのサツマイモは甘く煮て、お弁当のお惣菜に。関わりのある人たちがつくるものだから安心できる。「横浜農場」ののぼりも立てて、積極的に地産地消をアピールしています。それもあってか、平和幼稚園に子どもを通わせる保護者たちが、帰り際に立ち寄ることも多いそうです。

 

自分が望む生活を

小皿をつくっている陶芸の余暇活動の様子。調理の仕事だけでなく、絵画や手芸など自分の楽しみを深められる

 

今後の目標は弁当のメニュー数を増やすこと。夏は麺類、冬は体を温めるものなど、もっと季節を感じられるメニューを増やしたいと平良さんは話します。それに加え、幼稚園に子どもを通わせる保護者に合わせて、子どもが好きそうなものもつくりたいと言います。そして、福祉施設としての目標も。

 

「一人ひとりが自分なりに自立できて、自分で考えて選択できるといいなと思います。職員に決めてもらった作業を受け身でするのではなく、自分の気持ちを大事に選択していけたらいいのかな。そして、自分が望む生活をしてほしいと思います。私自身も人に寄り添った支援ができるといいなと思います。」

 

楽しく働いて、つくって、食べる。泉区産の野菜をきっかけに、豊かな生活がここで実践されていました。

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