ロゴ画像:いずみ くらし

「ここは横浜!?」泉区にあるとっても広い場所、「通信隊」の魅力とは

ある場所の写真を見せると、皆口々に「まるで北海道みたい」「こんなに広いところ、これが本当に横浜?」と驚く場所が、泉区の中にあります。しかも、自由に遊べる広場もあります。

 

今回私がご紹介するのは、泉区南部にある「深谷通信所跡地」です。今回は、深谷通信所跡地にある中央広場を使って遊んでいる方に、この場所の魅力をお聞きしました。

 

「あれは鳥」と雲を指差す詠美ちゃん、通信隊は空がとても広いんです

 

 

丸い円の中は不思議な広い場所!?

 

泉区の地図を見ると、区の南側にまるでコンパスで円を描いたような丸い場所があります。直径約1kmの円、その場所が深谷通信所跡地です。

 

私が子どもの頃、ここは不思議な場所でした。家々が並ぶ道を抜けると突然視界が広がって、大きなアンテナが何個も立っていました。通信所の門の前では、外国人の子どもたちがガレージセールをしていたこともありました。自分たちが暮らす街のすぐ横に、普段の風景とは打って変わって異なる場所があるのです。

 

深谷通信所跡地は、2014年6月まで米軍の通信施設でした。米軍から国に返還された後、現在は跡地利用の計画が進められていますが、現在は横浜市が国から土地の一部を借りて暫定的に野球場、ゲートボール場、グラウンドゴルフ場などに活用されています。中央広場では時々イベントも開催されていて、2021年の11月にも「防災・脱炭素化啓発フェア」が行われていました。

 

区内ではこの場所を今でも「通信隊」と呼び、看板や広告などでもそのように書かれている場合が多いようです。なので、この記事でも「通信隊」と呼ぶことにします。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回は「広いスペースが必要な遊びをする時は、ここ」とお話される区内在住の石井さんとそのご友人に、通信隊で遊ぶ面白さや場所の魅力をお聞きしました。ライターの私も混ぜていただいて、実際に遊びながらお話をお聞きします。

 

冬は芝生が枯れていて寂しいので、2020年5月に撮影したライターお気に入りの写真を。春から夏にかけての通信隊は、青々と草木が繁ります。この写真をある人に見せた時「これ、サバンナ?」と言われたのが忘れられません
(なお、この写真を撮影した通路の外は、国の管理区域で一般の方々の立入りは禁止となっています)

 

 

普段はできない、広い場所ならではの遊びを

 

「せっかくだから、何人かで」という石井さんの呼びかけに集まってくださったのは、石井さんのご友人髙橋冬華さんと、河内千春さん・詠美ちゃん親子の4人。持ち寄っていただいたのは、カイト(洋凧)、フリスビー、バドミントン、フラフープと、確かにスペースが必要そうなもの。「近所の公園だと、狭いじゃないですか。カイトは場所が広いだけじゃなくて送電線も気にしますし」とのこと。場所を探しているうちに、通信隊に行き着いたそうです。

 

高橋さんのお気に入りはフラフープ。わざわざここに来てまで、と思いきや実は案外出来る場所が少ないそうです。「家は狭くて無理ですし、近所の公園は狭くて他に遊んでいる子どもたちも居るから、集中できないんです。事故があったのか、禁止されている公園もありましたし。ここなら思いっきりフラフープ回せます!」と教えてくださいました。

 

河内さん親子は髙橋さんの仕事でのご友人で、東京からいらしたそうです。「時々戸塚の方に用事があって来るのですが、せっかくなら子どもも遊ばせたいな、と思っていたら今回誘われて」。実は、河内さんご一家は普段から山登りやスキーによく行っていて、詠美ちゃんも外遊びが大好きだそうです。「広い場所に遊びに行くと誘われて、良い場所があればと思って来ました」

 

遊んでいる人たちを見て「早く行こうよ!」と走り出します。心躍るとき

 

まずは通信隊の中にある中央広場を目指します。「中央広場」は、一般開放されていてだれでも使えます。泉区役所のサイト上では「広々とした草地を生かした最小限の整備を行っており、走り回って遊んだり、のんびりとくつろいだりしながら、空の広さを体感できる広場となっています。みなさま、ぜひお越しください」と紹介されています。今回のように遊ぶのにはぴったりの場所です。

 

到着すると、みなさん口々に「やっぱりここ広いよね」と話題に。特に初めて来た河内さんは「こんな広い場所あるなんて」と驚いた様子です。遠くには箱根や丹沢の山並みが見渡せて、晴れた日には富士山が見えるスポットです。地平線こそ見えませんが、遠くまで草原が広がり、はるか先まで家並みが無い様子は、たしかに北海道のような風景です。

 

車を停めて中央広場へ移動します。まずは詠美ちゃんのリクエストでバドミントンからスタート。中央広場のあたりを見回すと、私達の他にも既にカイトやフリスビーで遊んでいる人たちがいます。
遊んでいるうちに気づきました。ここでは思いきりバドミントンが出来るのです。ラケットを大きく振って、シャトルがあさっての方向へ飛んでいっても、気にせず動き回れます。風景が広くて気持ちいいだけではなくて、動き回れる自由さが魅力なのです。そんな感想を話していると、高橋さんが「近くでもできそうなフラフープをここでやる意味、わかりますよね?」と。

 

大人たちもバドミントンで大はしゃぎ。長い影も遮るものがないこの場所ならでは

 

しばらくすると、詠美ちゃんが空を見上げて何かを指差していました。何をしているのかな、と聞くと「雲の形が動物に見える!」と教えてくれました。「あれは鳥、こっちはキリン!」と。そういえば、こんなに広々と空を見渡したのも久しぶりかもしれません。ここならば、ずっと空を見上げていても、誰の邪魔にもならないのです。

 

遊びはバドミントンから既にフリスビーに切り替わり、お互いに投げあって走り回ります。「広いとはいえ、他にも遊んでいる人たちも居るので、柔らかくて当たっても怪我しないタイプを使っています」と石井さん。確かに、広いとはいえみんなが使う場所、配慮は大切ですよね。なお、中央広場は利用者が怪我をする可能性のあることは禁止されていますので、念のため。

 

さて楽しかった時間も終盤、最後にカイトを飛ばそうと組み立てたところで、今まで吹いていた風がピタッと止んでしまいました。何度か試してみた結果「やっぱり今日はもう難しいですね。先にやっておけば良かったですが」と石井さんから宣言が。カイトを上げているところを見たかったのですが、残念。でもこればかりは仕方ありません。リベンジを誓って、今日は帰ることにしました。

 

遠く、高くまでフリスビーを投げても、ここなら大丈夫。思いきり遊べます!

 

終了後、今日の感想や通信隊という場所についてみなさんが思ったことをお聞きしました。「不思議な場所ですよね」と石井さん。「こんなに広くて、子どもの頃は『なんだろうこの場所は』と思っていました。広くて遊ぶのに最適です。車も停められますし」との感想。高橋さんは「やっぱり広い! 家が狭いので、こういう所に来ると気持ちも良くなる」と話してくださいました。そして河内さんは「トイレがきれいで良かった、子ども連れなので」とのこと。「跡地の広場と聞いて、トイレは無いか、あっても汚くて狭いんだろうな、と。でもここはトイレが大きくてきれいで、まずそれが良かった。そしてやっぱり場所が広い。気分がいい」という感想でした。

 

「また来たよ!」おやつも食べながら、広い場所で思いきり遊びました(河内千春さん提供)

 

 

のびのびと出来る他にはない雰囲気がある場所

 

さて、この日はこれで解散になったのですが。ちょっとだけ後日談が。「またあの広いところに遊びに行きたい!」と詠美ちゃんが言って、今度は妹の美月ちゃんとも一緒に遊びに行ったそうです。「すっかり気に入ったみたいで。近所の公園とも山登りとも違う、なにかの魅力や面白さを感じているようです」と河内さん。

 

そう、通信隊の広場には、独特の魅力があるのです。普通の公園ともまた違う、「広い」や「気分がいい」という言葉だけでは伝えられない魅力があります。のびのびと自由に過ごせる雰囲気は、他にはないこの場所の持つ良さです。ちなみに個人的には、写真の2枚目、春から初夏にかけての草木が青々と茂るシーズンがとても好きです。ぜひ一度、「通信隊」こと深谷通信所跡地へ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

 

ライタークレジット:
写真・文=一柳亮太(泉区ローカルライター)

 

Information:
深谷通信所跡地中央広場
https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/madoguchi-shisetsu/riyoshisetsu/hukaya.html

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

記事
一覧をみる
ページのトップに移動するリンクアイコン