ロゴ画像:いずみ くらし

相鉄いずみ野線の駅前再開発のヒミツに迫る! 住民も参加可能な”まちづくり計画”が進行中!

相鉄いずみ野線沿線では各駅前周辺の再開発後、様々なイベントが開催されています。相鉄線は2019年にJR線と相互直通運転を開始。2023年3月には東急線ともつながる予定です。

 

私自身も利用者の一人として沿線の活性化にワクワクしていた中、このいずみ野線沿線の活性化は、横浜市と相鉄ホールディングスが締結した「相鉄いずみ野線沿線における「次代のまちづくり」の推進に係る包括連携協定」による取組、Future City Project(以下FCP)の一つであることを知ります。

 

私は、住んでいる街の満足度は生活そのもの、ひいては人生の満足度にもつながると感じています。沿線利用者の方、楽しく泉区で暮らしたいと思っている方全てにこの計画を知ってもらいたいと思い、取り組みを行っている横浜市の担当者の尾本篤志さん、石川咲貴子さん、相鉄ホールディングスの筒井和貴さん、坂入豊さん、相鉄ビルマネジメントの和田あかねさんにお話を伺ってきました。

 

左から 石川咲貴子さん、尾本篤志さん、筒井和貴さん、坂入豊さん、和田あかねさん
撮影時のみマスクを外しています

 

 

いずみ野線のまちづくり計画「Future City Project」って何?

 

FCPには大きく6つのまちのイメージがあります。①多世代交流ができる新しいまち、②多様な人材にとって働きやすいまち、③交流を通して地域貢献につながる取組が生まれるまち、④地域の学びと子育てができるまち、⑤誰もが日常の生活の中から健康づくりができるまち、⑥暮らしを支える持続可能な仕組みがあるまちです。

 

「いずみ野線が開通しほぼ同時期に新しい住民も越してきて45年が経ちました。FCPの取り組みの根底には高齢化が進む地域の課題をどう解決していくかがあります。取り組みを進めていく中で色々な課題が出てきますが、根底は変わりません」(筒井さん)

 

相鉄線路線図 いずみ野線沿線はこのエリア(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

 

いずみ野線5駅の再開発ポイントは?

 

その地域で暮らすこと、移住・定住を考える際、「この地域で自分の理想とする暮らしが出来る」という前向きなイメージを持てることは重要です。中でも最寄り駅がどんな地域なのかは大きな要素の一つ。

 

FCPでも地域の特徴を活かしながら駅前を中心に取り組みが行われています。「(設備など)ハード面ではいずみ野線リノベーション事業の一環として、駅前再開発と、それに合わせ駅前広場にイベントスペースを設置することなどに取り組んできました」(筒井さん)、「(いろいろな地域の方々が関わる)ソフト面として駅前広場を活用しイベントなどを開催しています」(石川さん)。現在泉区には2路線9駅がありますが、本記事中ではその中のいずみ野線沿線5駅を紹介していきます。

 

 

〇緑園都市駅

 

緑園街マルシェステージの様子(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

既存の駅前広場を活用し、地域の有志で開催されていた地域活性化のイベント「街カフェ」を「緑園街マルシェ」にバージョンアップ。保育園・幼稚園の園児から大学生までが出演するステージや、地域の方々がそれぞれの特技を生かしたブースを出店し、多世代が交流できる場となっています。

 

 

〇弥生台駅

 

弥生台駅前(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

再開発で駅前にイベントスペースを設置。他にも国際親善総合病院のサテライトクリニックや病児保育室、物販やワークショップ、ギャラリーなど地域の方の「してみたい」を叶えられる1日単位で利用可能なスペース「弥生台TRY BOX」、BOOK&CAFEスタイルで泉区初となるスターバックスがオープン。例年3月には健康やスポーツをテーマに「やよい祭」を開催しています。

 

 

〇いずみ野駅

 

多世代交流をコンセプトに再開発を実施し、ホームセンターや地域ケアプラザ、乳幼児の一時預かり保育所など地域密着型施設を設置。地産地消のレストランの招致や、地元産野菜の販売等も行われています。例年2月に節分祭が行われるほか、9月開催のいずみ野マルシェ+(プラス)では昼夜二部制も取り入れ、夜に映える光を使ったイベントも。フェリス女学院大学の学生がベーカリーと企画したパンの販売も実施しています。過去にはいずみ野線40周年や相鉄グループ100周年のクリスマスイベントも開かれました。

 

いずみ野マルシェ+の様子(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

フェリス女学院大学の学生達とコラボパンの打ち合わせ(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

 

〇いずみ中央駅

 

地蔵原の水辺 駅前の憩いのスペース(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

「子育て世代のお客さまに安心して施設をご利用いただく環境づくりの一環として、株式会社相鉄ビルマネジメントが授乳室に使える『mamaro(ママロ)』を設置。また、『みんなの絵本のおうち』という多世代交流が可能な施設を設立しました。子育て中の家族がお出かけしやすくなるような取り組みです」。これらはFCPの直轄のプロジェクトではありませんが、相鉄ビルマネジメントなどと連携することで、地域を考えたまちづくりを多面的に行っています。

 

 

〇ゆめが丘駅

 

ゆめが丘駅の駅舎(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

開発進行中の注目のエリア。市営地下鉄ブルーライン下飯田駅が隣接しており、2路線2駅が利用可能。事業主体は、泉ゆめが丘土地区画整理組合、相鉄グループの相鉄アーバンクリエイツが、同組合の事務局を担当。

 

 

旭区の2駅を知ると、いずみ野線沿線の目指す姿がより鮮明に!

 

いずみ野線沿線の旭区の2駅にも少しふれておきます。泉区在住のみなさんも、利用されたことがあるかもしれませんね。南万騎が原駅も再開発が行われ、住み替え循環の促進のための多世代向け住居の導入、まちづくり拠点「みなまきラボ」の設置などの取り組みが行われています。

 

「みなまきラボは地域の人たちとまちづくりを考える拠点です。小学生の子が宿題をしに立ち寄ったりもしています」(和田さん)

 

小学生が地域の特徴を見つけて書いたプレートが複数枚、駅前広場に埋めてある。探して歩いてみるのもよいかもしれない。

 

地域住民提供のひなまつり人形を使用したイベント。「天候の苦労も多いですが、一度のつもりが好評のため継続することに」と、筒井さんが笑顔で話してくれました。(横浜市建築局住宅再生課提供)

 

二俣川駅も広範囲の再開発が行われました。「フタマタリバーライブラリーというワークスペースも出来ています」(和田さん)。在宅ワークも増えた今、沿線でちょっと足をのばしてお気に入りのワークスペースを見つければ、職住近接も可能です!

 

 

FCP担当者の思いを受けて、地域住民の一人として芽生えた気持ち

 

横浜市、相鉄グループ、それぞれの立場から、FCPにかける思いや、地域の方々に伝えたいことを聞いてみました。

 

横浜市の石川さんは、「定住促進が目的にあります。地域の方がつながれる場所、盛り上がる取り組みを目指しています。いずれは地域主体でできたらいいですが、地域の方から話があれば、これからも地域の方と一緒に取り組んでいきたいです。市としては、郊外住宅地に住み続けるためにはどうしたらいいかという大きな課題解決に向けてチャレンジしています」と言います。

 

相鉄ホールディングスの筒井さんは、「いずみ野線の各駅は魅力に溢れていますので、まずは、沿線の方はもちろん沿線外の方にも、来ていただくきっかけをつくりたいです。そのためにも、沿線に住んでいる方の満足度を上げ、住んでよかった、住みたいまち、と思っていただき、沿線外の方にも噂が広がればうれしいです。地域課題にも住民の方と連携しながら解決を見出せるような取り組みを考えていきたいです。最終的な理想は色々な方のライフスタイルにハードとソフト両面で応えられる魅力的なまちづくりをしていくことですね」と力を込められました。

 

私自身、これまで駅前再開発やイベントについてどこか遠くで決められたことの様に感じている部分がありました。今回の取材を通し、FCPに関わる皆さんの思いを受け、相鉄いずみ野線沿線のまちづくり計画を知ることができ、今までになかった気持ちで駅やまちを見ることができるようになったと感じます。それは、私もまちを大事に育てていきたいという思いや、自分にできることは何だろう、と考えるような気持ちです。FCPの取り組みは多岐に渡るため本記事では全てを書ききれていません。書ききれていないのに、実は大幅に文字数を超えた記事になってしまいました。さあいよいよ最終章です。

 

 

沿線を知って、いずみくらしを楽しもう!

 

駅前再開発の背景には、たくさんの思いから成るFCPによるまちづくり計画がありました。泉区に少しでも興味を持たれた方には、ぜひ相鉄いずみ野線沿線に一度足を運んでほしいと思いますし、記事中のどこかに少しでも共感していただける部分がありましたら嬉しいです。

 

現在も収束していない世界的な感染症により、日常が多くの人の支えで成り立っていることを改めて実感しています。FCPも同じく人との関わりでできていて、つながりが難しく感じられる今も、様々な工夫で前に進み続けています。きっと今ある思いももっとまちづくりに反映されていく、と感じずにはいられません。

 

泉区のまちには、FCPという私たちの思いを受け止めてくれる頼もしい人と仕組みがあるんです。

 

取材に協力して下さった皆様、最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

 

南万騎が原駅前にて

 

 

ライタークレジット:
写真・文=下田いずみ(泉区ローカルライター)

 

Information:
問い合わせ先
取組全般:横浜市建築局住宅再生課
045-671-2954(平日8:45~17:15)

 

イベント関係:FCPイベント事務局(株式会社カルサイト)
045-594-8825(平日10:00~17:00)

 

みなまきラボ関係:みなまきラボ運営委員会
info@minamakilab.yokohama

 

FCP公式サイト
横浜市・相鉄グループ 相鉄いずみ野線沿線 次代のまちづくり – (izuminoline-fcp.jp)

 

<参考:FCP締結と発展の概要>
2011年 国が横浜市を環境未来都市に選定
2013年 横浜市と相鉄ホールディングスが「相鉄いずみ野線沿線における「次代のまちづくり」の推進に係る包括連携協定」を締結
2014年から順次 相鉄いずみ野線駅前街区の再開発が開始
2016年 横浜国立大学、フェリス女学院大学とも「相鉄いずみ野線沿線における『次代のまちづくり』の推進に係る四者連携覚書」を締結し、産学官民連携の取組がスタート
2018年 横浜市が「SDGs未来都市」の選定を受け、環境未来都市の取組をステージアップ
2019年 協定を更新、現在に至っています
SDGsとは、持続可能な社会のことで国連で採択された国際目標です

 

 

※イベント時写真は全てコロナ禍前のものとなります。
※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

記事
一覧をみる
ページのトップに移動するリンクアイコン