ロゴ画像:いずみ くらし

泉区の旬の野菜をお届け!年に10回開かれる地産地消マルシェ「緑園坂の駅ポンテ」

 

「緑園坂の駅ポンテ」は、年10回、泉区で採れた旬の野菜を販売するマルシェです。相鉄いずみ野線・緑園都市駅を出て、「サンステージ東の街」に向かう坂の上の交差点、緑のテントを目印に、メンバーの皆さんがにこやかに迎えてくれます。野菜はどこから来て、マルシェはどのように運営されているのでしょうか。2011年から活動を続ける大嶋裕司さんにお伺いしました。

 

 

生産者と消費者の架け橋になる場所

 

「緑園坂の駅ポンテ」は、泉区で採れた野菜を泉区で消費する“地産地消”を進めるため、2011年から続く緑園地区の自治会活動の一つです。6〜7月の夏販売と11〜12月の冬販売、それぞれ5回の年間計10回、泉区で採れた旬の野菜を私たち消費者に届けています。

 

写真は2023年12月の様子。開始前から人が集まり始め、あっという間に人だかりが!

 

この日は色とりどりのカブに、大きなブロッコリー、朝採りの水菜やラディッシュ、掘り立てのじゃがいも、里芋などが並んでいました。6月からの回では、さやえんどうやキャベツから始まり、きゅうりやトマトなどの夏野菜が楽しめるそう

 

「緑園都市駅入口」交差点の一角、緑と白のテントが目印(写真左マンション下)

 

これだけの種類の野菜が、現在は泉区下飯田町の「片野農園」1軒から卸されているそうです。販売には農家の方も参加され、野菜を買う人にとっては作り手の顔を知る機会にもなっています。

 

私が坂の駅ポンテの活動に気づいたのは、たまたま車で交差点を通りかかったことがきっかけでした。“新鮮野菜”ののぼり旗と人でにぎわう様子が目に留まり、高層マンションが立ち並ぶ「サンステージ東の街」の程近くで、地元の野菜が気軽に手に入る取り組みを魅力的に感じました。

 

「人が集まる“駅”と、イタリア語で架け橋の意味を持つ“ポンテ”。緑園は坂のまちなので、坂道の途中で人が集まり、生産者と消費者の架け橋になる活動という意味が、『緑園坂の駅ポンテ』の名前に込められています」。そう話してくれたのは、緑園坂の駅ポンテ部会長を務める大嶋裕司さんです。

 

部会長の大嶋裕司さん。今年77歳の大嶋さんは、小学校の先生をされていたそう。定年退職後、坂の駅ポンテに関わりはじめました

 

 

各区の特色を出した活動が始まったきっかけ

 

活動は、どのようなきっかけで始まったのでしょうか。

 

「きっかけは、2011年当時横浜市長が横浜市内18区それぞれの特色を出した取り組みを推進していたことです。泉区は農地面積や農業人口が市内でも大きかったことに注目し、当時の連合会長が活動に手を挙げました」

 

元々はご自身の住むエリアの自治会役員を務めていた大嶋さん。そこから緑園連合自治会の活動にも声がかかり、「緑園坂の駅ポンテ」に関わるようになりました。

 

緑園には一丁目から七丁目があり、四丁目のみ東・西に分かれ、計8自治会制となっています。これら8つの自治会が連携する活動を主導するのが緑園連合自治会です。「緑園坂の駅ポンテ」は、連合自治会のなかで組織される「緑園地区活性化委員会」の活動の一つ(図:筆者作)

 

元々農業に関心があったのですか?と尋ねると、「そういうよりも、始めたのは連合町内会長に騙されたから」と笑って話してくれた大嶋さん。立ち上げは決して簡単なものではなかったそうです。

 

参加してくれる農家を募ることからスタートした坂の駅ポンテの活動ですが、メンバーが毎年変わる仕組みが、スムーズな組織作りの壁となりました。「メンバーが1年ごとに交代したり、高齢で続けられなくなったり。活動が停滞することで、農家さんと思うように関係性が築けず、活動が発展していきませんでした」。そのようななかで白羽の矢が立った大嶋さん。アプローチに反応があった農家を回り、コミュニケーションをとるところからスタートしたと話します。

 

思いがけないトラブルに見舞われたこともあったそうですが、丁寧な取り組みを続けること12年。現在坂の駅ポンテは62歳から85歳のメンバー10人で運営されています。コロナ禍を挟み、関わる農家は絞られたものの、販売テントは当初の倍の大きさに。今では緑園の住民だけではなく、通勤などで緑園の外から来る人も多く野菜を買い求めるそうです。

 

こちらは2024年1月、サンステージ東の街の餅つき大会にて。いつもの交差点での開催のほか、自治会主催の行事にも参加しています。「生でもおいしいよ」とカブを勧めてくれたメンバーの方は、活動を通してさまざまな野菜を知れた、とにこやかに話してくれました

 

 

続けてこられたのは、仲間がいいから

 

「坂の駅ポンテ」をはじめとした自治会の活動は、メンバーのボランティアで成り立っています。「自治会は地域を支える活動。坂の駅ポンテのような活動のほか、生活ごみ管理など暮らしの中の仕事を担っています。協力し合っていくのが大切だと思います」と大嶋さん。活動をつなぐ次の世代を育てるのが課題とも話してくれました。

 

「12年活動を続けてこられたのは、仲間がいいからです。メンバーとは飲み会を開いたり、カラオケに行ったり、活動を通じていい仲間ができました。“行って楽しい”が続けられる理由です」。

 

2024年は6月24日から!坂の駅ポンテ開催の情報は各町内会の掲示板で確認できます。一丁目、四丁目西、四丁目東、五丁目、七丁目では回覧板でもお知らせがあるので要チェック

 

取材当日、メンバーの方に勧められ、私はカブを買って帰りました。柔らかくて甘くて、家族にも大好評!「野菜がおいしいと、ごはんが楽しいね」と言い合いながら、カブはあっという間に食卓から姿を消しました。これまで坂の駅ポンテが野菜を届けた食卓でも、たくさんの笑顔が生まれたことでしょう。

 

緑園の坂の上で緑のテントを見かけたら、皆さんもぜひ足を運んでみてください。泉区のおいしい野菜と出会い、地域を支える大切な活動に触れる機会になるかもしれません。

 

写真・文=佐藤沙織(泉区ローカルライター)

 

 

##インフォメーション

・緑園坂の駅ポンテ(緑園連合自治会・緑園地区活性化委員会)

2024年夏野菜販売

6月24日、7月1日、8日、15日、22日

15:00〜17:00(売り切り終了)

サンステージ東の街噴水広場前(泉区緑園4-3-1)

 

 

・「緑園坂の駅ポンテ」はサンステージ東の街コミュニティセンターを拠点に活動しています。

 

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

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