ロゴ画像:いずみ くらし

手話を楽しめる環境づくりを意識「泉区手話サークル鈴」

ドラマを見て手話をできるようになりたいと思ったことはありませんか?私は、ろう者の友人ができたことで、もっとコミュニケーションを取りたいと感じ、手話を勉強しました。手話の勉強は、一人で学習するより、実践して手話を活用しながら、継続して学べる環境が必要です。今回私がご紹介するのは、活動35周年を迎えた「泉区手話サークル鈴(すず)」です。サークル活動を見学•体験し、その後、代表の浦崎千鶴さんにお話を伺いました。

 

(初心者クラス、ろう者の方が都道府県の手話を教えている様子)

 

 

分からなくても、周りのサポートがある

 

泉区手話サークル鈴は、泉区社会福祉協議会の多目的室などで、毎回2時間、手話の勉強会を行っています。この日は、初心者クラスとベテランクラスの2回に分けて1時間ずつ実施。初心者クラスは、誕生日の表現の仕方、住んでいる場所、都道府県の表現を手話で覚える時間でした。分からない時は、どうすればいいのかを周りに聞いてしっかり教えてもらえる環境があり、楽しく学べる環境だと感じました。

 

(誕生日の手話表現を教えている様子)

 

(8の手話表現が難しいと話している様子)

 

(誕生日を表現しながら、分からない所をその場で教えてもらいながら学んでいます)

 

(手話の本、DVDを借りることができます)

 

クラスが終わった後、手話の本を借りている人に声をかけてみました。「次回までにできる限り覚えたい」という言葉が印象的でした。笑顔で授業に参加する人が多く、初心者クラスが終わった後も楽しく会話をしていました。

 

 

積極的なコミュニケーションで手話を学ぶ

 

ベテランクラスでは、私も参加させてもらい、サークルの雰囲気をより身近に感じることができました。手話を使える人が多かったため、初心者クラスよりもコミュニケーションが多い印象でした。発表をする時、「私は皆の前に出て、手話を発表したい」と意見が言いやすい環境だと感じました。意見を言い合っていても、雰囲気は明るいまま。こうしたクラスの空気づくりが、35年間活動が続いている理由だと思いました。特に少人数でろう者の方の手話を聞き取る時が難しく感じましたが、難しくてもまずは怖がらず間違えてもいいから挑戦してみることが大事だと勉強になりました。

 

(聞き取りながら少人数でろう者の方に質問をするベテランクラス)

 

 

(発表の様子:ろう者の方が手話で表現をして、聴者の方が声に出して何を話しているのか説明します)

 

 

手話を継続して楽しく勉強してほしいという思い

 

体験の後、代表の浦崎千鶴さんにインタビューをしました。

 

(インタビューに答えていただいた手話サークル鈴代表の浦崎さん)

 

 

――サークルのメンバーは何人ですか?

 

現在は、聴者28人、ろう者5人ほどです。今年は新規入会者が多かったです。昔から手話は流行っていましたが、手話ドラマの影響もあり、やはり、メディアの力は大きいと感じました。映像で手話を見て、やってみたいという気持ちになり手話を習う人が増えていると思います。それが大きなきっかけにつながったと考えます。

 

 

――普段はどうやって教えているのですか。

 

毎回メンバー2人が講師を担当、または外部講師を呼んでいます。外部講師には、2、3カ月に1回来てもらっています。きちんとした手話を学べます。通訳者を目指す人にとっては手話を表現するだけでなく、ろう者の文化や歴史を知る必要があります。このサークルでは全部ひっくるめて勉強できるようになっています。

 

 

――今年はどんな年でしたか。

 

今年は取材が3件ほどありました。4月からタウンニュース、区役所など、露出の多い年でした。見学が1回だけだと雰囲気が分からないと思うので、2、3回できるようになっています。対応が大変でしたが、5人新しく入ってくれたので嬉しかったです。バス旅行も実施しました。参加は、サークルメンバーだけでなかったため、他のろう者とのつながりもできました。

 

 

――サークルの良い点は?

 

サークルでは、普段接しないろう者にも出会うことができます。ふれあいもとても大切です。ろう者は、一人ひとり手話の違いがあります。住んでいた地域も関係しています。難しいですが、奥深いです。勉強をいきなり始めるのは大変ですので、まずは楽しむことから始めることが大切だと思います。

 

 

――浦崎さんが考える「楽しいサークル」とは?

 

ろう者を交えてみなさんと一緒に身近に手話を勉強することはとても良いことです。ろう者と楽しく会話をできるようになりたい、通訳者になりたいなど目的はさまざまあります。学校ではないため、長く続けてもらいたいです。サークルでは、技術、会話のやり取りを重点とした勉強カリキュラムを組んでいます。だからこそ、手話サークルがずっと継続して、35周年を迎えることができたと考えます。

 

 

――泉区との関わりはありますか?

 

小学校低学年と中学校のための福祉教育をしています。体育館で簡単に手話体験、歌手話をしています。昨年は7校訪問し、今年度は2023年11月〜2024年1月の間に5校訪問しました。学校の福祉教育は、サークルにとっても勉強になります。ほかにも月に3回、年36回の活動日の中で、勉強会、講演会、福祉教育、クリスマス会や新年会など各種イベントを行っています。一回一回は大変ですが、楽しみも大きいです。

 

 

――浦崎さんが手話の勉強を始めたきっかけは?

 

子どもの頃、家の隣に耳が聞こえない子がいました。同じくらいの年の子でした。私は、その時手話ができませんでした。ですが、一緒に遊べていました。子どもの頃は、不思議なもので言葉が分からなくても一緒に遊べていました。今は手話がしっかり確立しています。手話ってどんなものなんだろうと、知りたくて始めました。定年後、泉区に手話サークルがあると知り、それがきっかけで勉強しました。いくつになっても勉強したいと思えばできます。手話は、世界が広がります。ろう者の世界にふれることで自分の世界が広がったことを嬉しく思いました。

 

 

――手話を勉強して何年ですか? どうやって勉強しましたか?

 

手話を勉強して10年経ちました。時間にゆとりがある時は、手話教室に通っていましたが、学校スタイルの勉強だったため、厳しかったです。初心者から脱出するのは難しいです。そのため、きちんと真剣に学ぶ期間を設けて手話を学ぶことは正解だと思います。

 

 

――手話を継続するコツは?

 

以前NPO法人でコミュニティカフェを運営していた時に、ろう者がお買い物に来ていても誰も対応できる人がいませんでした。お買い物のコミュニケーションがうまくいかずに帰ってしまうろう者を見て、私は悲しい思いをすることが多かったです。そのため、私が手話を一生懸命勉強しなきゃいけないという気持ちが原動力になりました。手話は、生活に身近な関連性があると続けられます。ろう者は、イベントが好きな人が多い印象があります。各地でやっているいろいろなイベントに参加すると、新しいろう者の言葉が分かるのが嬉しいです。なんでも関連付けるために、積極的にいろいろなイベントに行ってみるなどの努力を意識するべきだと思います。

 

 

――手話を学んでいて良かった経験はありますか?

 

聴覚障害は見ただけでは分かりません。ろう者がいる場所に行かないと手話を使える環境がないです。しかし、まちで電車に乗っていて、偶然声をかけることでお手伝いができたことが、私にとって良い経験でした。

 

 

――これからの展望について聞かせてください。

 

代表は、毎年変わります。歴史が続いているため、自分の考えを生かそうと努力しますが、1年しかないため私が代表としてやれる期間は短いです。この会が存続できるようにこれからも手伝いたいですし、存続したいと思う人が一人でもいる限り頑張りたいです。

 

2023年度の役員メンバー、優しく手話や泉区手話サークルについて教えていただきました

 

質問の一つひとつに丁寧に答えてくれた代表の浦崎さんと役員メンバーの皆さん。サークル会員全員を大切にし、手話を学びやすい環境作りをされている様子が伝わりました。

 

泉区で手話を学ぶなら「泉区手話サークル鈴」で楽しく勉強してみてはいかがでしょうか。

 

 

##ライタークレジット:

写真・文=佐藤美桜(泉区ローカルライター)

 

 

##Information:

泉区手話サークル鈴

活動場所:ふれあいホーム(泉区社会福祉協議会内) いずみ中央地域ケアプラザなど

活動日時:毎月第2、3、4木曜日 10 時〜12 時    年 会 費:4,800円

団体の連絡先・取材希望・ご相談・各種情報提供はいずみ区民活動支援センターまで

E-mail iz-kuminkatsudou@city.yokohama.jp

電話     045-800-2393

 

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

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