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農家のSOSに駆け付ける、「泉区農業応援隊」

 

 

 

市内でも有数の農業の盛んな泉区には、高齢化や担い手不足に悩む農家のお手伝いをするボランティア団体があります。その名も「泉区農業応援隊」。

主に泉区内の農家のSOSに駆け付け、隊員の団結力によりお助けする、農家にとっての強い味方です。日々の活動への思い、泉区ならではの取り組みについて、「泉区農業応援隊」代表の冨岡俊仁さんや隊員の皆さんにお話を伺いました。

 

 

ベテランも新人も、力を合わせて農家をサポート

 

 

2012年に誕生した「泉区農業応援隊」。7人のメンバーからスタートし、「専門技術は必要ない」というコンセプトが受け入れられ、現在は22歳から85歳まで、泉区民を中心に約50人で活動しています。

初期メンバーである代表の冨岡さんは「農家は担い手不足で大変そうだった」と、発足当時の様子について話します。

「境川のそばを散歩していたときに、休耕田がすごく多いなと思ったんです。そうしたら、ちょうど『泉区が農家のボランティア団体をつくる』という話が舞い込んできて。泉区の農業の振興が進んだらいいなと思い、手をあげました」

 

代表の冨岡俊仁(とみおかとしひと)さん

 

「泉区農業応援隊」に所属するメンバーの中には、実家が農家だった方や、長年家庭菜園をしているという方もいますが、ほとんどが農業の経験がなかった人たちです。しかし、団員同士でコミュニケーションをとり、教え合いながら徐々に農作業に慣れていきます。

 

農家や時期によって作業内容が全く異なるのが、「泉区農業応援隊」の活動の特徴です。活動の日は、「今日は何をしますか?」という農家との会話から始まり、その日の段取りを教えてもらいます。

「本当になんでもやりますよ。例えば、春は植え付け、夏は草取り、秋は片付けや秋野菜の植え付け、冬は翌年のための養生。これらを必要に応じてやっています」と冨岡さん。

とくに秋は片付けの時期で、毎日スケジュールが入っているメンバーもいるほど忙しい季節なのだとか。

 

ベテラン隊員たちが次々と大根を収穫

 

 

初めての現場では、最初はぎこちなく、手順を振り返りながら作業を進めていくメンバーたちですが、だんだんと要領を得てきたら、農家さんと分担し、次々と作業をこなしていきます。最近は、長く所属している人たちが率先して次の作業を行うことで、新人さんがそれを見ながらやるという、よい循環ができているそうです。

「慣れたら、次はあの仕事だな、次はこれをやるんだなとわかってくるので、とっととやっていきますよ。6,000本のキャベツを3時間ほどで一気に植え付けたり、茄子の畑を短時間できれいに更地にしたり」

 

 

 

収穫後の袋詰めも手際よくこなしていきます

 

 

さまざまな仕事内容に応えられる体制づくり

 

 

現在登録されているのは27農家で、最近また新しい農家の登録がありました。なかでも、今一番力を入れているのは、9年前にも一度応援要請があった大根農家。

9年前は、奥さんが骨折されたときにSOSがきました。朝6時から作業を開始し、12時ごろまでに洗浄と箱詰め、その日のうちに大根1,000本を市場に出荷。そういったサイクルが、1ヶ月ほど続いたといいます。

冨岡さんは、「正直、大変でした。しかし、どうにかしてみんなで助けようと。それはうまくいってよかったです」と話します。

そして、今回はご主人が怪我をしたことによるSOS。普段市場まで大量の大根を運んでいるご主人の代わりになる人数や運転ができるメンバーを編成することが求められていたと冨岡さん。

 

要請があれば果樹園も手伝います。農家さんに教えてもらったことに気をつけながら剪定や摘蕾をします

 

 

「泉区農業応援隊」は、要請があった農家の仕事内容に応えられるよう、日頃からそれぞれの農家に、方針をよく知っている担当者を置いています。「どんな仕事をするのか」「どのくらいの人数がいるのか」などを農家と打ち合わせたら、担当者が隊員に募集をかけます。定員になると募集を締め切りますが、場合によっては定員に達しない日も。そんなときは、担当者が適任だと思うメンバーに電話をかけるなどしてメンバーを集め、応援に駆けつけるのだそうです。

 

畑作業中

 

 

翌日の区民まつりで販売する約1,000本のネギを、みんなで一気に袋詰め

 

 

ネギや大根をはじめ、葉生姜やヤーコン、さつまいも、人参など、さまざまな野菜を扱ってきました。

 

 

みんなでやるから楽しいし、作業もはかどる!

 

 

1時間〜1時間30分に1回休憩をはさみます。お茶を飲みながら雑談で盛り上がったり、情報交換をしたり

 

休憩時間は、テーブルを囲んで団らんのひととき。泉区は自然がたくさんあるところが魅力だと話すのは、メンバーの丸山さん。

「今まで経験のなかったことを学べる機会でもありますし、自分でもちょっとしたガーデニングをしているから、学んだことを活用できるのがうれしいですね」

 

 

丸山茂子さん

 

「10〜15人で、キャベツの苗を5,000本ほど植える作業が、1時間半〜2時間できちんと終わったときは、やっぱり充実感があるよね」と話すのは、60平方メートルほどの家庭菜園を21年も続けているという山路さん。

 

山路博さん

 

「みんな最初は“はじめまして”。作業をしていくなかで、交流が深まったんだよ」と話す木村さんは、実家が農家で、今も自分で畑をやっています。

「一人で自分の畑に行くより、こういう場所はやはり楽しいですよね。皆さんと冗談も言い合いながら、和気あいあいと楽しくやらせてもらっています。それが一番大事だと思う」

 

木村匡臣さん

 

10年目の水上さんは、「もちろんきついこともある」と話します。

「農家によって、簡単な作業、体力を使う作業、色々とありますから、それに体が慣れなければちょっと大変ですね。でも、しっかり休憩を取っていますから、バテるようなことはない。冨岡代表はそういう指導力も発揮されています」

 

 

水上寛文さん

 

「やっぱりみんなでやるから、はかどる。農家2人だと1週間かかる仕事を、応援隊なら半日くらいで済ませますよ」と副代表の星川さん。

役員の鈴木さんも、「少ない人数だと終わりが見えなくて大変だから、できるだけたくさんのメンバーで、短時間で終わらせる工夫をしています。そうすると、みんながまだ元気なうちに気持ちよく終われる」と話します。

 

 

星川正義さん

 

 

鈴木修五郎さん

 

「農家の方にありがとうって言ってもらったときは『やったぞ!』という気持ちになる」と代表の冨岡さん。

「以前よりも『休耕地がなんとかならないか』ということを、一層感じながら生活するようになったね。みんなで作業をした畑の野菜が元気よく育っているところを見ると、『あそこで活動したんだよ』と言えることもうれしい」

 

 

隊員の皆さんの生き生きとした話しぶりと表情が印象的な「泉区農業応援隊」。

団結力のある「泉区農業応援隊」の活動が、泉区の農家を支え、そのことが区民の皆さんが新鮮な野菜を手にすることができる「地産地消」につながっているのです。

 

 

 

【泉区農業応援隊】

新規隊員登録・農家登録は泉区区政推進課企画調整係へ

電話:800-2331

メール:iz-kusei@city.yokohama.jp

 

詳しくはこちら

https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/shokai/portal/ouentai.html(泉区HP)

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