夏祭りをダンスフロアに!泉区民のプロスティールパン奏者”マニッシュ”さん
地域の夏祭りといえば、盆踊りや露店、お神輿などが思い浮かびますが、泉区のお祭りではスティールパンバンドのステージをたびたび観る機会があります。私は、同じ泉区民であろう見知らぬ人と、スティールパンの音楽に合わせて体を揺らし、心と体が解放される感覚を味わいました。そのステージで中心となって演奏していたのは、スティールパン発祥の地であるトリニダード・トバゴで生まれ、プロとして世界各地で演奏しているマニッシュさんでした。
スティールパンの魅力はもちろんステージ!
マニッシュさんのスティールパンバンドは15人程の生徒さんから成るバンドで、すべてのパートが打楽器です。スティールパンは音階がある打楽器なのでメロディーがしっかりと聞こえますが、ドラムセットと合わさると、音の嵐の中に入ったような感覚になります。ひとたび演奏が始まれば、常夏のカリブ海を連想するのは、きっと私だけではないはずです。
2023年の泉区年賀式で、ステージを依頼している上飯田連合自治会の馬場勝己会長(兼泉区連合自治会町内会長会 会長)は、その理由を「年賀式でぜひ盛り上がりたい。ひなた山の夏祭りではスティールパンバンドはトリを務めてもらっています。みんな踊り狂って最高ですよ」と、その魅力を力説してくれました。
マニッシュさんのステージに魅了されて、観客から生徒になった子どもたちがいます。そのレッスンを見学させてもらうことができました。
誰でも始められるスティールパン
スティールパンのレッスンはマニッシュさんの演奏をお手本に、ひとまとまりのメロディーを何度も繰り返し、体で覚えていきます。楽器に向き合う子どもたちの眼差しは真剣そのものでした。「楽譜はありません。音楽の経験が全くなくても始められますよ!」マニッシュさんは、私にバチ(正式名称はマレット)を渡してくれました。
取材中次々にレッスンに来る子どもたちに、なぜスティールパンを習っているのか聞きました。全員が一致していたのは「ステージが楽しいから」でした。練習に難しさを感じても、ステージに立つ喜びには代えられないそうです。
「どこの国で演奏しても、音楽は楽しい!音楽で一つになれる。言葉すら関係ない」とマニッシュさんは、顔をほころばせて語ってくれました。
スティールパン発祥の地はマニッシュさんの出身地
スティールパンという楽器は、誕生してから2022年現在でまだ82年、比較的歴史の浅い楽器です。その成り立ちをマニッシュさんに聞きました。
トリニダード・トバゴは中米に位置するカリブ海の島国です。石油が採れるため、国内にはドラム缶がたくさんあったそうです。毎年2月には盛大なカーニバルがあり、カーニバルが終わった後も空のドラム缶を叩きながら、国民は音楽を楽しんでいました。ドラム缶を叩いているうちに、叩いた場所の凹みによって音が変わることに気付き、だんだんと音階が増えてスティールパンが誕生しました。マニッシュさんいわく「スティールパンは偶然の産物」なのだそうです。
マニッシュさんが生まれた頃には、すでにスティールパンはトリニダード・トバゴで広く演奏され、スティールパンバンドの大会(事実上の世界大会、「パノラマ」と呼ばれています)が行われていました。
スティールパンの奏者を父親に持つマニッシュさんの生活には、常にスティールパンがありました。17歳からヨーロッパ諸国やアメリカ、カナダなど世界各地で演奏。27歳で来日し、スティールパンバンドのメンバーとして宮崎県に住みました。横浜市泉区に拠点を移して2022年現在14年で57歳。新型コロナの流行で出演は一時減少を免れませんでしたが、現在は日本各地から演奏や指導の依頼を受けつつ、泉区や周辺地域でもお祭りに出演して盛り上げ、地域住民のコミュニケーションに重要な役割を果たしてくれています。
##ライタークレジット:
写真・文=松本 裕美枝(泉区ローカルライター)
##Information:
マイケル・マニッシュ・ロビンソンさん
泉区のレッスン会場:ひなた山第二自治会館
曜日:月曜日・水曜日
レッスン時間・料金など詳細はメールにてお問い合わせください(子どもから大人まで受講可能です)。プライベートレッスンも可。
演奏依頼・レッスン受講・楽器の購入などに関するご相談先
(マニッシュさんはスティールパンの制作・販売もしています)
メールアドレス:mailto:pannist1jp@gmail.com
https://michaelmanishrobinson.hatenablog.jp/aboutmanish
※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。
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