Bread&Café ぶどうの樹
ぶれっどあんどかふぇ ぶどうのき
- ジャンル
- パン、
- 営業時間
- 11時から15時
- 休業日
- 土・日・祝日・最終水曜日ほか
- 住所
- 横浜市泉区和泉中央北 4-33-12
- TEL
- 045-801-1090
- 推薦者
- 齊木 昇
働く人も、お客さまも。居心地のよいパン屋さん
いずみ中央駅から10分ほど歩いたところにあるパン屋さん「Bread&Café ぶどうの樹(第2ぶどうの樹)」。運営母体である「特定非営利活動法人ぶどうの樹」がもつ、3つの事業所のうちの一つです。店内に並ぶ種類豊富なパンのなかには、泉区の農家さんから仕入れた野菜を使った商品も。日々働くメンバーやお客さまと丁寧に向き合い、地域とお店をつないでいるのが、指導員の両角智恵さん。地産地消の取り組みや、地域の皆さまとの交流、そして泉区の魅力について、お話を伺いました。
「やりたい!」から始まるパンづくり
ぶどうの樹は、障がいのある方が軽作業やレクリエーションをする場所として、2003年に設立されました。人員が増えたことを機に、2008年に第2事業所である「Bread&Café ぶどうの樹」をオープン。パン屋さんを開店したのは、働くメンバーたちの希望があったからだそうです。その後、第3、第4と事業所が増えていきました。
施設ごとに作業が少しずつ異なり、第3事業所ではパンづくりと軽作業、第4事業所では「ガーデンキッチンぶどうの樹(第4事業所)」として、パンやお惣菜の生産、販売をしています。指導員の両角さんは「かなり施設間で連携しているんです。例えば、メンバーさんのなかには週に3日はここBread&Café ぶどうの樹に来て、残りの2日は軽作業ができる第3事業所に行く方もいます。皆さんに楽しく通っていただくことを一番に考え、一人ひとりの体調や希望に合わせて働き方を選べる仕組みになっています」と話します。
パンづくりから販売まですべて行うのが、Bread&Café ぶどうの樹の特徴。お店での役割分担も、メンバーの希望に合わせて組んでいきます。生地づくりまでは全員で行い、その後の成形やサンドウィッチの中身づくりなどは、それぞれが好きなものから徐々に学ぶそうです。
「今では皆さんほとんどの作業を自分でこなせるようになりましたが、全員ができない作業ももちろんあります。皆さんのやりたい作業を目標に、計画を立て、できるだけ希望に添えるように工夫しています」
泉区産のおいしい野菜で、会話も広がる
パンが並ぶカウンターをよく見ると、横浜市の地産地消を表す「横浜農場」のポップが貼られている商品があります。地産の野菜を取り入れたパンの目印です。特に多いのが、玉ねぎとじゃがいもを使った惣菜パン。人気の「ナンカレー」は、惣菜の販売も行う「ガーデンキッチンぶどうの樹(第4事業所)」でつくったインド風のバターチキンカレーに、オリーブオイルとガラムマサラで炒めた旬の野菜をトッピングしています。
「泉区のお野菜は新鮮で、おいしい。特に、玉ねぎはほんとうに甘い。農家さんの顔が見えるので安心、安全というのも良いですね。お客さまに『農家さんから買っているんですよ』とお話しして、そこから話が膨らむこともあります」と両角さん。
地産の野菜を使うようになったきっかけは、3年ほど前にメンバーのご両親からいただいたという、家庭菜園のおすそわけ。「ある日、自宅でたくさん野菜がとれたからと持ってきてくれたんです。それから『もっと地産地消の商品がつくりたいね』とみんなで話し合っていたら、1年前にたまたま移動販売できた泉区の農家さんと出会いました」
地産地消の商品は、全部で10種類ほど。そのほかのパンも、目移りしてしまうほどバラエティに富んでいます。レシピはどのように考案されているのでしょう。
「パンの先生がお店に来て、アドバイスをいただきながらみんなで考えます。メンバーさんも一緒に『こんなパンがつくりたい』『これが良さそう』などと意見交換を。そのなかで、地産の農産物の使い方についても話し合います。あと、やっぱりお客さまの意見もとても重要なので、お店であったことをみんなで報告するようにしています」
話し合いを重ねるうちに約60種類のパンが誕生。種類が多い分、一つひとつの数は少ないですが、電話予約やお取り置きなど、お客さまのニーズに合わせて対応していると言います。
「まずは地域の皆さんに私たちのことを知ってほしい」
Bread&Caféぶどうの樹は、地元の人が集まる場所に積極的に出向いています。コミュニティプラザでのお祭りから泉区民ふれあいまつりまで、さまざまな地域イベントに参加。特に、お祭りの開催が多くなる夏〜秋にかけては毎週のようにどこかへ出掛けているといいます。
「泉区はあたたかい。寛容な人が多く、福祉に関心のある方も多いです。それでも、まだまだ理解されないこともあります。おいしいパンを食べてほしいという気持ちと同じくらい、私たちのことをもっと皆さんに知っていただきたいと思っています。そのために、なるべく地域の方々と交流する機会をつくっています」
ぶどうの樹の設立当初から17年の付き合いがある松陽高校では、障がいのある方のためのスポーツ大会があり、そこでボランティアの中高生たちとも交流します。
そのほか、パンの出張販売や、年に2回ほど小学校の給食づくりも担っています。
「約400食をつくるのは大変。でも『給食で食べたあの丸パンがおいしかったから』と言って買いに来てくれる子もいるんです。うれしいですね」と両角さん。9月には小学校の個別級の生徒が、Bread&Caféぶどうの樹のパンを販売する企画も予定しているそうです。
お客さまや地域との交流も楽しみながら、愛情を込めてパンをつくるBread&Caféぶどうの樹。地域住民はもちろん、遠方にお住まいの方も、ぜひ足を運び、泉区の野菜と人のあたたかさを体感してみてください。
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