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ベテラン大根農家・羽太孝之さんの畑で農業応援隊の活動に参加!美味しい食べ方も教わりました

当いずみくらしサイトの地産地消の取組の記事でも紹介した、「泉区農業応援隊」。私もはまふうどコンシェルジュ講座の農作物収穫体験をきっかけに2020年から参加しています。その活動で出会ったのが、長年「飯田の葉付大根」を生産している羽太孝之さんです。高齢になっても元気に畑をまわる楽しさを伺いました。

 

屋根のペンキ塗りの際に落下しても何の後遺症もなく、病院の先生方に「奇跡」と言われた羽太孝之さん

 

 

大根作りを続けて64年

 

10代から叔父さんやお母さんの手伝いで農業を始め、38歳で体の弱かったお父さんから2,400坪の農地を継いだ羽太さん。敷地内の作業場のすぐ下に新幹線が通っているという場所で農業を続けて64年です。2021年までは、5万本もの葉付大根を生活協同組合ユーコープへ共同出荷をしていました。若かった頃は、保土ケ谷や大和、綾瀬の市場にも三輪トラックを運転して納品していたそうです。まだ薄暗い夜明けから作業して朝収穫した大根は納品後、品質検査を受け翌日には各家庭に届けられていました。築地市場から電報で注文が入った時には10時間かけて納品に行くこともあったとか。そんな羽太さんの話を聞いて、私は横浜の大根は多くの方の支持を得ていたんだなあと嬉しく思いました。

 

曲がりや割れのない大根を葉付のまま出荷するということは、丁寧な土づくりや畑の管理、施肥(肥料を与えること)のタイミングなどが難しそうだなと想像しますが、羽太さんは「種をまいたら収穫するまでそれほど大変じゃないよ」と笑います。おおよそ40年、長く続けていることで、心身も鍛えらえれ力を抜いて作業できるのかなと感じました。

 

 

農業応援隊として腕をプルプルさせながら収穫を体験

 

意欲的な毎日を送られている羽太さんですが、2022年10月、屋根のペンキ塗りをしていたときに落下し、意識不明で救急搬送されて一カ月ほど入院されていました。以前骨折して作業ができなかったときにも農業応援隊に依頼があり、当時の名刺を頼りに奥さんから相談の電話が代表に入りました。役員が現地を視察検討し、廃棄するにはもったいないと隊員に7千本の収穫・出荷作業計画の打診があったのです。

 

今回の事故の際には、火曜と土曜の休業日を除いた2週間、1.2kg~1.4kgほどの青首大根300本の出荷を毎日3名ずつで担当しました。今回は個人出荷で、JA横浜野菜出荷場へ搬入してイトーヨーカドーなどで販売。4畝に育成された大根を引き抜きつつ、5本ずつ重ねてトラックを移動させながら詰め込み、作業場へ搬送します。大根洗浄機へ一本ずつ差し込み、ぐるぐる回りながら水槽へ落ちていく大根の土を拭って引き上げ、木枠の台車へ割れ防止の水をかけながら積み、葉っぱを切って長さをそろえ準備しました。

 

昨年10月に農業応援隊に依頼が有った時に収穫した大根

 

畑から一本ずつ抜くときは中腰での作業となり、5本で7キロ近い大根を割れないようにトラックへ運ぶときは振るい上げるようにするので、両肩に力が入ります。走って洗浄場に移動してトラックから一本ずつ手渡しで洗浄機へ入れるときも、葉の傷みや割れに注意するので二の腕がプルプルしますし、朝の水は冷たいです。洗浄機の音と新幹線の通り過ぎる振動を感じながら機械の一部になったような3時間、初心者には面白いけれどこれを何十年も続けられていたのかと思うと、市場で売られている大根は安すぎると感じながら作業していました。

 

 

奇跡の回復力も、長年の規則正しい生活と仕事ぶりのおかげ?

 

羽太さんは意識が戻ってから、病院の先生方にも「奇跡」だといわれるほどの回復力で退院が早まりました。退院してすぐ畑をならしに行き、楽しそうに話す姿に私たち隊員もあっけにとられていました。

 

年齢を感じさせない羽太さんに何か特別な秘訣があるのかとお聞きしても「日々の生活の中で特に健康に気を付けているということはなくて、怪我はしたけど持病は無くいたって健康」と(笑)、怪我を乗り越えて前向きに、徐々に無理のない作業量に縮小しながら季節の野菜や大根作りを続けているので楽しいと話します。残念ながら学生時代からの友人6人と出かける旅行は入院で中止となりましたが、その関係が続いているというのも地元ならではなんでしょうと羨ましく思いました。

 

11月の泉区民ふれあいまつりでは農業応援隊の販売ブースに100本もの大根を寄付していただき、葉付大根は来場者に大変喜ばれました。規則正しい習慣、鍛錬された体、まわりの期待に応え与えられた仕事を誠実にこなしてきたお手本のような農家さんなのだなと思いました。

 

 

箸休めにぴったり、無添加のお漬物

 

最後に取材のお土産に頂戴した、大根の醤油漬けと甘酢漬けのレシピをご紹介します。一年中出回る大根ですが、肉質が柔らかく内部までしっかり味の入る「おでん大根」という青首大根で作っていただきました。冷蔵保存で1週間ほど楽しめますので、一度お試しください。

 

<大根の醬油漬け>

材料:大根300g(1/4本)、つけ汁(醤油55cc、砂糖50g、酢27cc、鷹の爪少々)

作り方:大根は太めの拍子切りにして保存用容器へ入れる。漬け汁は全て鍋で沸かし煮立ててから大根を入れ常温で漬ける

 

<大根の甘酢漬け>

材料:大根300g(1/4本)塩10g、甘酢(酢30cc、砂糖30g、ゆずの皮少々)

作り方:大根の皮をむき太めの拍子切りにして保存用容器へ入れ、塩をふり浮き出た水を切る。甘酢用酢と砂糖を鍋に入れ煮立てて冷ましてから水切りした大根を漬ける。

(醬油漬けと甘酢漬けの作り方は、下線のところが違いますので注意してください。)

 

大根の醬油漬けと甘酢漬け

 

 

##ライタークレジット:

写真・文=中村公仁代(泉区ローカルライター)

 

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

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