ロゴ画像:いずみ くらし

定番からローカルライターおすすめの場所まで! いろいろな見え方が楽しめる泉区の富士山スポット12カ所を回りました

富士山。もう改めて説明するほどもない有名な山ですね。遠くからも目立つ日本一高い山として、昔から多くの人に美しさを愛でられた山です。横浜市の西側に位置する泉区からは富士山がよく見え、日常の中でふと富士山を目にするのが泉区で暮らす良さだといつも思っています。泉区を表すロゴマーク「#住むなら泉区」にも遠くに望む富士山のシルエットが描かれています。そんな泉区の富士山スポットを、定番からローカルライターのみなさんおすすめの場所までご紹介します。

 

「関東の富士見百景」に選定された、横根稲荷神社付近からの富士山。実際にこの場へ立つと、箱根から丹沢までの山並みを一望できます

 

 

まずは定番の富士山スポット、横根稲荷神社付近へ

 

弥生台交差点からほど近い小高い場所が、泉区でもっとも知られた富士山スポットです。2005年に国土交通省関東地方整備局が選定した関東の富士見百景にも、「横根稲荷神社付近」として選定されました。この場所の魅力は風景の広さ。箱根から丹沢まで山並みを見渡せます。天気の良い日、特に夕方は、沈む夕日と富士山を写真に収めようとたくさんの人が来ています。夕日がきれいだった2023年の元旦には、30人ほどの方が集まっていました。相鉄いずみ野線いずみ野駅、弥生台駅どちらからも遠くなく、近くに富士塚バス停もあります。行きやすくて富士見百景に選ばれたのも納得のきれいな風景が眺められるスポットです。私も近所に住んでいるので、「あ、今日は富士山見えそう」と思った時に向かうお散歩コースにしています。

 

薄く霞がかっている富士山が、水墨画のようで、とても気に入ったのでご紹介。ローカルライターの蒲さんが撮影した写真を送ってくれました。季節や天気によって、富士山はさまざまな姿を見せてくれます(写真:蒲喜美子)

 

続いて区内の北から順に富士山スポットご紹介します。泉区の北端、ひなた山付近からの富士山を、ローカルライターの松本さんが送ってくれました。幹線道路の環状4号線からの風景なので、ふと目にされた方も多いのではないでしょうか。

 

環状4号線のひなた山付近からの富士山。幹線道路なので、車窓からふと見た方も多いのでは(写真:松本裕美枝)

 

この環状4号線付近は小高い場所となっていて、富士山がよく見える場所です。環状4号線に並行して走る相鉄いずみ野線の車内から、いずみ野駅を発車していずみ中央駅まで富士山がとてもきれいに見えると話していたのが、泉区役所職員の方々。確かに電車はさらに高い高架橋の上を走るのでよく見えます。が、電車内からの写真を掲載するのはちょっといろいろ難しく、かわりに泉区役所4階の会議室から撮った写真が届きました。

 

泉区役所4階会議室からの富士山。マンションと建物に挟まれて、頭だけ出した富士山がとてもユーモラスで好きな光景です。区役所の敷地は和泉川沿いの標高が低い場所にあって、富士山はあまりよく見えないそうです。残念!(写真:泉区役所提供)

 

 

最近話題のゆめが丘からも富士山が見えました

 

この頃開発が進んで大きく変わったゆめが丘。相鉄いずみ野線ゆめが丘駅と隣接する横浜市営地下鉄ブルーライン下飯田駅の駅前広場から見た富士山の写真を、ローカルライター神成さんが送ってくれました。夕暮れ時のシルエットがきれいですね。この付近は、どんどん街並みが変わっていて、もしかするとそのうち富士山が見られなくなるのかも、と思いました。だとしたら、街が変わる最中の記録でもあり、貴重な写真です。

 

夕暮れ時の下飯田駅の駅前広場から。日々変わっていくゆめが丘、新しい街ができるのは泉区に暮らす者として楽しみですが、富士山がこれからも見え続けるのか、気になっています(写真:神成昌幸)

 

そしてもう一枚、ゆめが丘駅から見た富士山の素敵な写真が届きました。同じくローカルライターのの小松さんからのメッセージとともにご紹介します。

 

「2018年の12月、高校3年生の娘をゆめが丘駅に送り、高校卒業後はこのように送ることはないだろうと思い撮りました。何もないゆめが丘駅に吹き降ろす風に寒そうに電車を待っている娘へ、6年間通い続けたことへの賛辞と思い出として納めた写真です。そんな娘もこの4月には社会人になるため、親元を離れます」

 

お話をお聞きして、とても良いなと思いました。思い出が富士山とともにあるってなんだかとても良いじゃないですか。日常の暮らしの横に富士山がある泉区らしいお話なのでご紹介しました。

 

お子さんの成長の記録が富士山とともにある。とっても記憶に残る思い出になりますよね。この写真については、小松さんの思いとお話がとても良くて言葉にならず、うまく説明できません。この良さが伝わってほしいです(写真:小松文美)

 

ローカルライターの笠島さんが、「ゆめが丘近くの富士塚団地から下飯田バス停への細い道から見る富士山がおすすめ」と教えくれたので、晴れた日に見てきました。確かに、小高い崖の上から、広がる湘南台の街並みと丹沢の山々がよく見えます。

 

富士塚団地の近くから。湘南台の街並みとの対比が面白いですね。写真に写っていませんが、少し角度を変えると左手の木立の向こうには箱根が見えます

 

 

坂を上ってもう一つの定番スポットへ

 

笠島さんからはもう1カ所「泉が丘中近くの陣屋自治会館から和泉川へ下る坂から富士山が真っ正面に見えます」という情報が寄せられました。「泉区からの富士山は広い空の背景に稜線がくっきり、と言ったイメージがあるのですが、ここからは富士山の眺めは、まるで山梨県!?と思うほど富士山が大きく見えます。 おそらく坂道で左右の前景と対比されるので富士山が大きく見えるのでは」とも。そのお話が興味深く、ゆめが丘から坂道を上って見に行くと、確かに大きい富士山が。でも、写真ではうまく写せません。ぜひ実際に見に行ってみてください。

 

陣屋自治会館下の坂道から見える富士山。写真が拙いのであまり「大きく」見えないのですが、現地へ行くと確かに大きく見えます。気になるのは、手前にあるクレーン。もしかしてビルが建つのでしょうか? そうなると富士山は!?

 

坂を上って深谷通信所跡地へ向かいます。深谷通信所跡地は、以前もこの「いずみくらし」でご紹介したのですが、視界を遮るものが少ないこの場所からは、まるで地平線のような平たくて広い風景の先に富士山、箱根、丹沢と連なる山並みが見えます。2022年度『住むなら泉区』の広告でも、深谷通信所跡地から見える富士山の写真が使われていました(広告は、いずみくらしのサイト内にある「いずみライブラリー」から見られます)。横根稲荷神社付近と並ぶ、泉区もう一つの定番富士山スポットとも言えるのが、この深谷通信所跡地です。

 

深谷通信所跡地から見える富士山。策定された跡地利用基本計画にも「周辺や富士山への眺望を楽しめる見晴らしの丘を整備します」と記されていて、もし実現したら、と思うと楽しみです

 

「通信所跡地の西側、わきみずの森あたりから富士山が見えますよ」という情報をローカルライターの瀧田さんからいただきました。なんでも、道から富士山が見える風景が好きで、時々行く散歩コースにしているとのこと。早速向かうと、のどかな道を歩く先に富士山が見えてきて、なんだかほっとする散歩道です。

 

深谷通信所跡地の西側、わきみずの森付近から見える富士山。動かない写真では表現できませんが、歩いていく先に富士山が見えてくる風景は、のどかでとても楽しい気持ちになる散歩道です

 

ここまでご紹介した場所は、おおむね泉区の西部から。他にも見える場所がないか情報を募ったところ、ひなた山からの富士山を紹介してくれた松本さんが「見える場所が2カ所ある」と教えてくれました。

 

1カ所目は、踊場駅から近い東原自治会館横の坂道から。たまたま散歩していて見つけたとのこと。訪ねていくと、自治会館へ下る坂から富士山が見えました。

 

東原自治会館近くの坂から見える富士山。「富士山を探す散歩はちょっとした冒険!オススメです」と松本さん。ちなみにこの付近は高圧線が交差する場所だそうで、見上げるとまるで網の目のような電線が見えるのも面白い光景でした

 

もう1カ所は、踊場駅隣の中田町東原交差点から。「以前、私の自宅の最寄りだった踊場駅の駅前では、街並みの隙間から富士山が見えます。小さく見えても威厳がある富士山と、交通量の多いこの道路が地続きでつながっているイメージを描き、時折この場所で深呼吸をしてから出勤していました。どことなく空気がおいしかった気がします」と松本さん。

 

横浜市営地下鉄ブルーライン踊場駅から近い、中田町東原交差点から見える富士山。建物の間から顔を出しています。通勤の時、ふと富士山が顔を出している光景を見たら、良い一日のスタートが切れそうです(写真:松本裕美枝)

 

 

富士塚と、昔の人々も眺めていた泉区からの富士山

 

泉区の地形を見ると、冒頭に紹介した横根稲荷神社付近から踊場付近にかけて尾根が続いています。周囲の標高がおおよそ30から50mなのに対し、この尾根は標高60m前後、一番高い場所は約67mで、西側の境川と東側の柏尾川を分ける分水嶺にもなっています。この尾根から東側の岡津や緑園都市では見える場所は限られているのかも、と思っていたらローカルライターの佐藤さんから「緑園都市から富士山が見えました」という写真を頂きました。フェリス女学院大学の緑園キャンパスから、西側の遊水地へ下る道で富士山が見えるそうです。写真を撮ったのは午後ですが「午前中はよりくっきり美しく見えるようです」とのこと。

 

なお、フェリス女学院大学のキャンパス内からも見えるそうですが、関係者でないと入れないので今回はパス。何かの機会があればぜひ見てみたいものです。

 

緑園都市から見える富士山。「富士山を望みながら、坂を下るのは気持ちがいいので、お時間あればぜひ足をお運びください」と佐藤さん。もしかするとふつうの人が行ける泉区の富士山スポット最東端かも?(写真:佐藤沙織)

 

ネットで調べていると、領家にある普光寺の裏手からも富士山が見えると知り、向かってみました。向かうとその先には長い階段が。「この階段を上るのか!」と思いつつ、意を決し登りかけた時に、ふとあることを思い出しました。

 

実はこの記事中にも「富士塚」という言葉が2回登場します。横根稲荷神社付近のバス停と、ゆめが丘近くの団地の名前です。区内でも別々の場所にあるこの富士塚という名称、一体何なんでしょうか。

 

江戸時代、庶民の間で富士山への信仰と登山が盛んになりました。人々は登山のためのグループ「富士講」を作り富士山を目指しましたが、富士山を登るのは今でも大変なことです。そこで当時、富士講が存在した村などでは、富士山を眺められる場所に富士山を模した小さな山を作り、代わりに登って信仰を深めたと言われています。その小さな山が「富士塚」で、泉区内には3カ所存在したと伝えられています。

 

岡津に今も残る富士塚近くに設置された説明板。「遥拝」とは、遥かに遠くの場所から拝むこと。昔の人も、今の私たちと同じように富士山を見て、そして何かの思いを感じていたのでしょうね

 

実はその富士塚、泉区内には横根稲荷神社付近と、現在の富士塚団地、そして緑園都市と領家の中間に位置する岡津の3カ所にありました。しかも岡津の富士塚は現存しています。こうしてみると、現代の人たちが富士山を眺めている場所がまさに富士塚が存在していた場所なのです。時代は変わっても、こうして脈々と富士山を見る人々の気持ちは続いているのでしょう。

 

普光寺の裏手の山へ登る階段。長くてつらい階段ですが、登ればきっと富士山が見えるはず。もしかすると現代の富士塚、なのかも(写真:松本裕美枝)

 

そう思うと、この階段は富士山が見える場所を探して歩いている今の私にとっての富士塚なのでしょうか。階段を登り切ると、そこには車道が続いていました。裏から回れば、階段を登らなくても来られたようです。頂上から富士山がよく見える場所を探すと、隣の階段が一番良く見える場所で、やはり登って良かったと思ったのでした。

 

普光寺の裏手付近から見える富士山。やっぱり階段を上って良かった、と思う風景でした。建物が少なかった昔は、もっときれいに富士山が見えたのかと思います

 

以上、泉区にある12カ所の富士山スポットをご紹介しました。まさに絵に描いたようなきれいな風景の場所もあれば、風景と同時にその人の暮らしにとって大切な富士山スポットもありました。いつもの場所も、季節や時間、天気の変化でまた違った富士山が見えてきます。今回ご紹介できませんでしたが、泉区内にはまだまだたくさん富士山が見える場所があります。あなたの富士山スポットを、ぜひ泉区で発見してみませんか? もし見つけたら、ぜひ教えてください。

 

最後に、2023年1月1日に横根稲荷神社付近から撮影した写真を。初日の出ならぬ初日の入りでしょうか。新年の最初からあまりに美しい夕暮れと富士山に、息を呑んだのを覚えています

 

 

##ライタークレジット:

写真(注記したものを除く)・文=一柳亮太(泉区ローカルライター)

 

 

##Information

国土交通省関東地方整備局 関東の富士見百景「【72】横根稲荷神社付近(神奈川県)」

https://www.ktr.mlit.go.jp/chiiki/fujimi0072.html
横浜市泉区役所「泉区散策マップ」(横根、富士塚団地、岡津にある富士塚についての説明もあります)
https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/shokai/gaiyo/sansaku/

 

 

※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。

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