ものづくりを学び育む地域交流の場 横浜中田少年少女発明クラブ
横浜中田少年少女発明クラブでは、毎月2回、主に横浜市内の小学生を対象として、工作講座やイベントを行っています。子育て経験の中で自身の子どもがものづくりへ関心を持っていたこともあり、今回取材を申し込みました。クラブの指導員で講師の尾関良雄さん、豊田浩康さん、小山憲志さんにお話を伺いました。
小学校カリキュラムにはないものづくり
横浜中田少年少女発明クラブは、横浜市営地下鉄ブルーラインの中田駅から徒歩10分程のところにある白百合パークハイム内の地域交流室で活動しています。公益社団法人発明協会から子ども教育の一環として少年少女発明クラブ設置の呼びかけがあり、1982(昭和57)年に全国で34番目、神奈川県で最初の発明クラブとして誕生しました。設立時は44人のクラブ員と指導員数人でスタートし、2023年までに延べ1,300人の卒業生を送りだしてきた歴史のある発明クラブです。
現在、横浜市や他市の小学生約20人のクラブ員が在籍、登録している指導員の内、常連の指導員5人と保護者にサポートをお願いしながら、毎年5月から3月まで、毎月2回定期的に活動しています。スタートから30年は木工作業ができていたそうですが、その後環境が変わって安全面での配慮から「木工でもねじや釘を使わず穴にはめ込む工作や接着剤を使う紙工作、電気・電池で動くモノづくり」のカリキュラムが中心となっているそうです。取材日(12/10)は、ちょうど「からくり島」をテーマに、段ボールでいくつかの仕掛けを作っていて、そこに動かす電動ロボットの工作をしていました。
大人の先入観と子どもの想像との“ズレ”が楽しい
一つのテーブルに子どもたちが集まり、ベテランの尾関さんが実際に作っているところを見ながらポイントやコツなどの説明を受けた後、作成に取り掛かります。部品の取り付けを間違いやすいところは丁寧な説明があり、つまずいたところがあると指導員が手伝っていました。
細かい作業工程を説明できるなんてすごいなと驚きましたが、指導員が事前に一度工作キットを作成しているそうです。「発明クラブで苦労している点は、キットを一度作ってみて、子どもたちが作りやすくするにはどうすればよいかを考えて工夫すること。必要なら道具の工夫もするし、木片などで工作しやすい道具も手作りして、子どもたちが作りやすくしている」と尾関さんは言います。子どもたちは、説明を真剣な表情で聞いていました。
一人が一つの物を作っていくので、作業を終えた子が遅れている子を手助けする様子や、道具を使うことに慣れていない子は保護者が手伝っている風景も見られました。約1時間半の時間で完成し、子どもたちが作成したものを一人ずつ発表して活動を終わります。
指導員はボランティアですが、クラブ員の保護者出身が多いそうです。その一人である指導歴15年の豊田さんは「指導員をやってきて良かったことは、自分も成長できること。子どもに教わることが多いし、関わることで刺激を受けます」と言います。「自分が思いつかないことをしたときには驚きがある」(小山さん)、「大人はモーターとはこんな道具という先入観から始めるが、子どもは先入観がないところからのスタート。そのズレがおもしろい」(尾関さん)と、皆さん子どもの発想力に感心していました。
時代が変わっても考える力が身に付くところ
発明クラブも設立から40年がたち、指導員は50~70代が中心となっていて、指導員の養成や継続することの課題もあるそうです。クラブが果たす役割について伺うと、「ここで得た学校とは違う活動を学校へつなげていってほしい。学んだことは中学や高校だけではなく社会人になってからも活かせることが多い」と小山さん。豊田さんは「ここは考える力が身に付くところ」だと話します。尾関さんによると、「たとえば4人やってきても、ずーっとものづくりしている子だけでなく、寝っ転がって見ている子もいる。以前は“ものづくり”だけをやればよかったが、イベントづくりへ変化してきた」と、居場所的な側面も果たしているようです。
最後に、子どもたちへのメッセージを聞きました。「イベントの多い中田で育ったことを誇りに思い、将来成長した時に、体験したことを思い起こして地域で役立ててくれたら」と豊田さん。指導員の皆さんが地域や未来の子どもたちに向ける温かい眼差しを感じました。
##ライタークレジット:
写真・文=E・A(泉区ローカルライター)
Information
「横浜中田少年少女発明クラブ」開催場所:白百合パークハイム 地域交流室2F
横浜中田少年少女発明クラブ公式サイト:https://mono746.wixsite.com/nakada-hatsumei
※このコーナーの記事は、泉区が大好きな「泉区ローカルライター」が、区民の目線で取材し、執筆しています。
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