ロゴ画像:いずみ くらし

ほっぺたが落ちるくらい甘〜いイチゴ! ゆめが丘農園でイチゴ狩りをしてきました

 

横浜でいち早くイチゴ栽培に取り組んだパイオニアの農家さんが泉区にいます。相鉄いずみ野線「ゆめが丘」駅から徒歩5分のところにある「ゆめが丘農園」。1〜5月が横浜のイチゴの旬です。真っ赤なイチゴがたわわに実り、大勢の人で賑わうゆめが丘農園を訪ねました。

 

 

■まるでフレッシュジュースのような瑞々しさ!

 

私が家族と一緒に泉区下飯田町にある「ゆめが丘農園」を訪れたのは3月中旬の日曜日。環状4号線を車で走っていると「イチゴ狩り」の看板を持った案内人の方が何人かいて、大きな平地の駐車場が満車になろうというタイミングでクルマを入れました。大勢の家族連れがクルマを降りて農園に向かって歩いていました。

 

シーズンになると「いちご狩り」の看板や旗があちこちに立っているので、迷わずに行けます

 

期待に胸をふくらませて農園に到着。受付を済ませてハウスに入ると「大きなイチゴのバルーンまで進んで、そこでカップを受け取ってください」と案内を受けます。カップを手に取ってから30分間が食べ放題タイム。さっそく畝(うね)の間を進み、イチゴをもぎ取ります。

 

その瞬間、「……うまいっ!」と、夫がうなります。「めっちゃ甘〜い」と中学生の娘も驚いた様子。小学生の娘は手のひらにおさまらないくらいに大きな紅ほっぺをほおばってご満悦の表情を浮かべました。

 

私も真っ赤なものを選んでもぎ取ってみました。「……まるでジュースみたい!」というのが率直な感想です。果肉が瑞々しくて水分たっぷり、甘みとほどよい酸味が相まって、いくらでも食べられそうです。

 

手のひらいっぱいに大きく実った紅ほっぺ。まるでジュースのように果肉たっぷり

 

ふと我に返ると、周りのお客さんも口々に「あまい」「おいしい」と感嘆の声をもらしています。ここのイチゴは、市販のそれとは比べ物にならない、異次元のおいしさです。

 

 

■平成23年からイチゴ栽培を続けるパイオニア

 

ゆめが丘農園の美濃口等さんは、この地で代々続く農家さんです。それまではトマトや切花を主に栽培していましたが、1999年に相鉄いずみ野線が開通してゆめが丘駅が開業したことを機に、これからの農業について考えるようになり、2010年、「駅近のイチゴ農園」をコンセプトに一大奮起してイチゴ栽培に取り組みました。

 

常に時代を見据えながらイチゴ農家としてチャレンジを続けるゆめが丘農園の美濃口等さん

 

「お試し栽培から始めて、翌2011年から本格的に収穫体験をスタートしようと思っていたんですが、直後に3.11が起こってしまったんです」

 

計画変更を余儀なくされながらも、当初60坪から始めたイチゴ農園は、順調に面積を拡大してきました。2014年2月の大雪でハウスがつぶれるなど、度重なる困難にも負けず、今では840坪まで栽培面積を広げ、横浜屈指のイチゴ農家として知られるようになりました。

 

イチゴといえば地面からなる「土耕栽培」が主流だった10年前、高さ1メートルほどのベンチ上で栽培する「高設栽培」にもいち早く取り組んだ美濃口さん。高設栽培では腰をかがめる負担が減って農家にとっては作業効率がよいだけでなく、収穫体験をするお客さんにとっても食べやすく、メリットが大きいのが特徴です。炭酸ガスを自動制御で送り込んで光合成しやすい環境を作ったり、横浜市の農業支援の制度を活用しながら、設備投資や栽培技術を磨く努力を続けてきました。

 

高設栽培は来場者にもメリットいっぱい。完熟したイチゴを選びやすく、もぎ取りも容易

 

コロナ前は観光バスごとお客さんを受け入れるなど、シーズンで1万人以上のお客さんを受け入れていましたが、コロナで環境は激変しました。人数を制限して30分ごとに時間を区切り、1列ごとに柵を入れて密にならないように工夫。平日もオープンしてお客さんの受け入れを分散させました。

 

「コロナ前は、人がいっぱいいると競うようにイチゴを食べ尽くしてしまう傾向があったんですが、コロナ後はお客さんにゆとりが生まれ、ゆっくり味わいながら食べてくださるようになったんです。お客さんの満足感も上がり、イチゴにとっても結果的によかった」

 

どんな困難もポジティブに乗り越える美濃口さんです。

 

 

■ゆめが丘の発展とともに「農ある風景」を未来に

 

現在ゆめが丘農園では、大きくて食べごたえのある「紅ほっぺ」と、味が濃くて適度なビタミンがある「おいCベリー」を主力の品種に据えています。今年はさらに、「よつぼし」「ほしうらら」「スターナイト」「もういっこ」の栽培にチャレンジ。

 

「苗の8割は種から自分でつくります。出荷用と収穫体験用は、品種も育て方も異なります。完熟してすぐに食べておいしい品種を、ここでは育てています」と、美濃口さん。

 

感染症対策のため、手指の消毒や、密を回避するさまざまな工夫がなされています

 

ちなみにおいしいイチゴの見分け方は、「まんべんなく真っ赤で、光っていてツヤがあるもの」だそう。スーパーでよく見かけるイチゴはヘタの近くがまだ白いものが多いのですが、それは収穫後、出荷して流通するまでに時間を要するため、完熟では出せないから。一方で、収穫体験農園のイチゴは、完熟したものをすぐに食べるので、1粒1粒の甘さやフレッシュさが販売用のものとは全く異なるのです。

 

私がゆめが丘農園を訪れた3月中旬は、幸いにも栽培中の6品種全てを食べられるタイミングでした。同じイチゴでも品種によって大きさ、色、味わいが異なります。自分好みの品種を見つけたらそればっかり食べ続けてしまう……なんてことも。

 

30分の食べ放題はあっという間で、イチゴで満腹!という何とも贅沢な時間です。農園全体がおいしさに対する感動や満足そうな笑顔であふれていて、その空気感にも幸せを感じました。

 

完熟したイチゴはヘタ付近まで真っ赤。ヘタから粒々までの首部分が長いものの甘みは最高!

 

ゆめが丘駅周辺は現在、再開発中で、2024年夏には大規模集客施設のオープンを予定しています。横浜でも再注目のエリアになるだろうこの地で、ゆめが丘農園には都市農業の魅力を発信する拠点としての期待も高まります。

 

「商業施設にきたお客さんにも、ぜひ足を運んでほしい。そして、ゆめが丘っていいところだなと思っていただければうれしい」(美濃口さん)

 

農のあるまち、泉区の魅力を象徴するゆめが丘農園。ぜひ、今が旬のイチゴを味わいに、訪れてみてはいかがでしょうか。

 

ゆめが丘農園からゆめが丘駅方面を望む。2年後にこの風景がどのように変化するのか楽しみです

 

 

取材・写真・文=北原まどか(令和4年度泉区ローカルライター講師)

 

Information

ゆめが丘農園

住所:横浜市泉区下飯田町1653

予約:090-2239-5433

営業:10:00〜13:00(営業日はHPで確認、予約をおすすめします)

料金:小学生以上2,500円、3歳から小学生未満1,000円、3歳未満無料

HP:https://www.yumegaokanoen.com/

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