地域とともに、遊び心ある企画を(フェリス女学院大学エコキャンパス研究会)
地域とともに、遊び心ある企画を
緑園都市駅から徒歩3分ほど、坂を上ったところにあるフェリス女学院大学は、生ごみ処理機の設置や太陽光発電など、キャンパスのエコ化を積極的に推進しています。そのなかで、日々、学生同士で意見交換をしながら、“楽しいエコ” “フェリスらしいエコ”を目指して活動しているのが、「エコキャンパス研究会」(以下「エコキャン」)です。二酸化炭素の削減を目指したマイボトルの販売、泉区内の農家や店舗とコラボレーションした地産地消メニューの開発など、様々な活動に取り組んでいます。今夏に販売した「A.cafe」とのコラボドリンクを中心とした区内での活動について、3年生の内藤来実(ないとう くるみ)さん、吉濱日和(よしはま ひより)さんにお話を伺いました。
地域とタッグを組み、地産地消メニューを開発
エコキャンは、現在19人のメンバーで活動しています。顧問である佐藤輝(さとう あきら)先生の授業やエコキャンのSNSなどをきっかけに、新入生だけでなく途中入部する2・3年生も多いのが特徴。人との関わりや活動の場を求めていた内藤さんと吉濱さんは、入学して最初の授業だった佐藤先生の話に興味をもち、入部しました。コロナ禍のため、二人が友達になったきっかけはSNSのダイレクトメッセージ機能でのやり取りでした。メンバー同士、リアルで顔を合わせたこともない中での活動には、心細い面もあったそう。
「そんななかでも、学生同士アイデアを出し合い、遊び心ある企画を生みだしてきたエコキャンの活動はとても面白く、環境問題に対する興味関心がどんどん広がりました」と、二人は顔を見合わせて話します。
今年度、特にエコキャンで多く立ち上がっている企画が、地元飲食店とコラボしたメニュー開発。なかでも「ヴィ・ド・フランス いずみ野店」とのコラボパンは、歴代のエコキャンが取り組んできた企画です。エコキャンが考案したパンをヴィ・ド・フランス いずみ野店が商品化し、毎年11月開催の大学祭で販売してきましたが、2021年はコロナ禍で大学祭での販売が中止に。代わりに、相鉄いずみ野線の「いずみ野」駅前で開かれた「いずみ野マルシェ+」に出店し、先輩たちが過去につくった「油で揚げないカレーパン」と「レモン味のクロワッサン」を再販しました。
2021年からは大学の近くにあるよこはま地産地消サポート店「A.cafe(関連記事:https://izumikurashi.city.yokohama.lg.jp/article/a-cafe/)」とのコラボ企画もスタート。店長と学生で話し合いを重ね、ヘルシーでおしゃれな「フェリジョ・ランチ」や「秋の果実 アフタヌーンティーセット」に続き、今年の夏は「オリジナルマイボトル付き! アリス・モチーフドリンク」の制作に取り組みました。
学内で育てたミントや地元産の果物がおいしいフルーツティー
「オリジナルマイボトル付き! アリス・モチーフドリンク」は、さっぱりとした夏らしい2種類のアイスティーを再利用可能なマイボトルに入れたもの。ベリーの香りが広がる「チェシャ猫の悪戯」は、カシスとブルーベリーの果肉が入った贅沢なフルーツティーです。使用したのは戸塚区名瀬町にある「門倉農園」のブルーベリー。「いつもイチゴやブルーベリー、イチジクなど旬のフルーツを仕入れている農園さんです。今回、時期的にブルーベリーが最適だと思い、提案しました」とA.cafeの店長・高橋麻美さん。
一方の「アリスのお昼寝」は、桃のフレーバーティーに、エコキャンが大学内で育てているアップル・ミントを加えたピーチミントティー。メンバーが毎日交代でお世話をしています。エコキャンでは他にもローズマリーとラベンダーを育てています。今後のメニュー開発でお披露目されるかも?!
オリジナルマイボトルについては、「私が1年生のときの秋頃には制作がスタートしていたので、ボトルはけっこう前に完成していたんです」と吉濱さん。
じつはマイボトルの発端は、ボトル単体の売上金額を発展途上国や慈善団体に寄付することを目的としたプロジェクトだったそうです。しかし、ボトル完成後に、コロナ禍では対面での販売自体が物理的に難しかったため、抱えた在庫の出しどころを探していたといいます。
そんな窮地も、大学生ならではの柔軟な発想で新たな企画につなげました。「ボトルがあるなら、オリジナルドリンクを入れて販売してしまおう」と、「オリジナルマイボトル付き! アリス・モチーフドリンク」づくりが始まったのです。
その後、A.cafeの高橋さんとオンラインミーティングで話し合いを重ねます。ボトルに入れるドリンクを考えるところから議論はスタート。コーヒーではなく、紅茶を選んだところに“フェリ女”らしさが垣間見られます。
「フェリス生って、コーヒーより紅茶を好む人のほうが多いんですよ。そして紅茶のほうが、アイスにしたときに風味が落ちにくいということもありました。」
特徴的な商品名は、メンバーみんなが意見を出し合って決めたそう。「かわいい名前にしようねと、アイデアを持ち寄りました。おしゃれなカクテルの名前などもこっそり参考に」と、内藤さん。
エコキャンがつくったマイボトルのデザインが、「不思議の国のアリス」の世界観を内装に取り入れていたA.cafeのイメージにぴったりだったこともあり、ドリンク全体をアリスモチーフにすることで統一感を持たせました。
活動から感じた泉区の魅力と、エコキャンのこれから
これまでカフェでの販売のみだったA.cafeとのコラボ企画ですが、今回は緑園都市駅前での出張販売にも取り組みました。
「ふだん駅を利用している人でも、A.cafeがある坂の上には来たことがない方もいらっしゃるんです。駅前での販売が、お店を知ってもらえるきっかけにもなりました」と店長の高橋さんは振り返ります。
「ドリンク販売とともにエコキャンの活動に興味を持ってくれる方もいて、地域の皆さんの温かいお声がうれしかったです。エコキャンのような新しい活動を応援してくれる雰囲気が、泉区にはありますね」
「今回のコラボドリンクも、私たちの提案に耳を傾けてくれたA.cafeさんや、おいしいブルーベリーを提供してくれた門倉農園さんのおかげで実現することができました。A.cafeさんとのコラボメニューは2年ほど前に始まったばかりですが、毎年恒例の企画になりそうで、今後も楽しみです」
コロナ禍でも、さまざまな人たちとコラボレーションしながら活動を続けているエコキャン。二人は2022年11月に引退を迎えますが、吉濱さんが最後に仕込んでいるのが、横浜市旭区の左近山団地で活動する横浜国大の学生団体「サコラボ」とのプロジェクトです。出会いのきっかけは、昨年にエコキャンが協賛賞を受賞した「横浜アクションアワード」でした。地域との共同プロジェクトに取り組む学生団体が集まるアワードで、エコキャンにとっては他団体との交流の場でもあります。サコラボとのコラボでは左近山団地内の商店街にあるピザ窯を活用し、エコキャンがメニューを考案した地元野菜のピザづくりを予定しています。
引退を前に、次の世代へ向けた思いについて、「後輩たちには、泉区での活動をさらに深めながら、国内の他地域や海外にも目を向けた活動をしていってもらいたいと思っています。」と内藤さんは話してくれました。
環境問題、地産地消など多様なアプローチに、多団体とのコラボレーション。そして学生ならではの柔軟な発想で、エコキャンはいくつものプロジェクトを立ち上げてきました。先輩たちの思いを受け継ぎながら、新たなプロジェクトにも取り組んでいく――。エコキャンのこれからの活動にも、ぜひご注目ください。
【フェリス女学院大学 エコキャンパス研究会】
所在地:〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
Twitter:https://twitter.com/ferris_ecocam
Instagram:https://www.instagram.com/ferris.ecocampus/?hl=ja
Facebook:https://www.facebook.com/ferris.ecocampus/
A.cafe関連記事: https://izumikurashi.city.yokohama.lg.jp/article/a-cafe/
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